日本コカ・コーラとコカ・コーラボトラーズジャパン(CCBJI)は6月21日、両社が水資源保全活動を行っている東京都八王子市の「上川の里」特別緑地保全地区を訪れ、活動状況を報告した。

「上川の里」の湿地

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当日は、両社の社員60名が里山環境と生物多様性の重要性を理解するための環境保全体験として、同地区で間伐、地ごしらえ、枝打ちなどの作業を行う環境プログラム『コカ・コーラ「森に学ぼう」プロジェクト』を実施予定だった。しかし、あいにくの大雨により、屋内で同地区の環境や維持保全に関する座学や木工作に取り組んだ。

両社は、2023年6月に八王子市と水資源保全に関する協定を締結し、コカ・コーラ ボトラーズジャパン多摩工場(東京都東久留米市)周辺流域における持続可能な水資源の保全を推進している。これは、2030年までに多摩工場の水源涵養率100%の達成を目指すことや、流域全体の健全化、生物多様性の保全に取り組むもの。

2023年7月から保全整備計画を立て、NPO法人「森のライフスタイル研究所」との協力により、間伐や湿地の復元作業など、里山環境の再生を進めている。この活動により、コカ・コーラシステムは、最終製品を製造する全国21工場周辺の19流域全てで100%以上の水源涵養率を達成できる見込みとする。

左から日本コカ・コーラ田中副社長、八王子市初宿市長、CCBJIの金澤統括部長

日本コカ・コーラの田中美代子副社長は、次のように話す。「水資源の保全は、私たち企業の非常に重要なミッションの一つだ。過去10年以上にわたり、我々は使用している水を自然に還元するために、各地の工場所在地で水源涵養活動を行ってきた。全国平均では、かなりの水の量を自然に戻せているが、多摩工場だけ水源涵養率で100%を達成できていなかった。多摩工場の流域が八王子市であることがわかり、ここで活動することにより、2024年年末までに100%の水源涵養率を達成できる見込みだ」。

八王子市の初宿和夫市長は、「この里山の水源を守ることが、世界的な企業の支えになるとは考えてもいなかった。これからもグローバル企業の成長のためのお手伝い、ひいては地球環境を保全する大切な気づきの機会になれば」と語った。

また、コカ・コーラボトラーズジャパンの金澤めぐみコミュニケーション戦略統括部長は、「森に学ぼうプロジェクト」について次のように話した。「各工場周辺流域での水資源保全活動の一環として取り組んでいるが、上川の里での活動は今回が初めて。実際に訪れることで、水資源保全の大切さを社員自ら体験し、理解するきっかけにしたい」。

保全地区である上川の里での今後の活動は、主に森林の保全と湿地の復元に取り組んでいくという。このうち湿地の復元は、用水路を作って水を引くことで水をためるもの。ゆっくりと土に浸透するため、水がろ過されてきれいな状態になるという。

湿原復元のもうひとつの利点は、ため池のような機能を持つことだ。田中副社長は、「大雨が降ると、アスファルトでは大量の水がそのまま流れてしまうが、湿地があればため池のような機能があるので、そこに水をためることができる。そういう余力を持つことは、洪水の緩和などにも役立てられる」と語った。

「森のライフスタイル研究所」竹垣秀信所長(右)と木工作に取り組む両社の社員