「おもしろいアイデアを形に」をモットーに、課題解決型のプロダクト「AQLOLO」の企画開発を行うEVE-Technologies株式会社は2024年6月18日より、駐車場がデザインされた白線に、子どもから大人までの靴3足分を並べることができる玄関マット「月極シューズパーキング」(1980円)の販売を開始した。

■構想3年、ナッジ理論をもとに開発された「月極シューズパーキング」
月極シューズパーキングは、「靴をそろえなさい!」と言ってもいうことを聞かない、同社取締役の土屋貴嗣さんと娘に対して妻のイライラが爆発したことがきっかけで誕生したという。玄関の乱れは家庭の乱れ。このままでは家庭不和も起こしかねないと考えた土屋さんが、3年の月日をかけて開発したものだ。

幼稚園の下駄箱では靴をそろえるのに、家に帰ったらなぜそろえないのか?この質問に、「自分の名前が書いてあるから」と答えた娘。その回答を受け、自分の名前としてわかること、そして下駄箱のように仕切られていればきれいに靴をそろえる行動に変わるのではと考え、試作品を繰り返し、白線を引いた駐車場のデザインに落ち着いたそうだ。

さらに、包装紙にプリントして切って利用する簡易的な契約書も用意し、本物の月極駐車場のように子どもたちへ契約書を渡す仕組みだ。

「駐車場のデザインを採用したのはナッジ理論によるものです。ナッジ理論とは、人間の心理的特性や行動パターンを理解したうえで、ちょっとした工夫や仕組みを活用することです。私も含め子どもたちの意思決定をよりよい方向へ導くのではと考えたのです。また、ここは自分の靴を置く場所だという意識づけも重要と考え、契約書も用意しました」と土屋さん。

発売1カ月前に子どもが1人、2人いる家族3組で実証実験をしたところ、場所の取り合いも起きず、3組の子どもたちは決まった場所に靴を“停車”するようになった。「契約書の存在が大きい。実証実験を重ね、子どもたちはゲーム感覚で靴をそろえる習慣がつきました」とその効果を実感している。

「月極シューズパーキング」について、さらに話を聞いてみた。

ーー開発した目的、また駐車場をモチーフにした狙いは?
親が玄関の靴をそろえない家は、子どももそろえない確率も高いようです。どうやったら靴をそろえるのか、また地元・名古屋らしいものがないかと考えたとき、駐車場はどうかと考えました。

ーーイチオシポイントを教えてください。
駐車場のデザインに加え、簡易な契約書を子どもに持たせたことです。「ここは自分の場所だ」という意識が芽生え、自然と靴をそろえるようになりました。責任を預けることの重要性を認識しました。

ーーそのアイデアはどのようにして生まれましたか?
ナッジ理論にたどり着くまでに2年以上かかりましたが、子どもの下駄箱のことを知ってから半年以内で製品化できました。母が社長、息子が取締役で会社を経営しています。2人でアイデアメモ帳を作り、「いつか製品化するぞ!」って思いでやってます。名古屋なので、物作りの血が根っこにあります。

月極シューズパーキング(1980円)は、特殊な布系素材でできており丸洗いもOK。現在は3人用の駐車場デザインだが、「将来的には大型バスのサイズをデザインした業務用タイプも開発予定で、学童や幼稚園、保育園などに営業していきたい」と話している。

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