モデルの顔をもつかたわら、さまざまなブランドを展開する実業家としても活躍しているMALIA.さん。MALIA.さんには4人の子どもがいますが、現在は17歳の長女と5歳の三男とアラブ首長国連邦の首長国の一つ、ドバイで生活しています。MALIA.さんは子どもの教育のためにドバイでの生活を決断したと言います。ドバイで暮らす理由や、これまでの子育てを振り返りながら、性教育についても聞きました。全2回インタビューの1回目です。

子育てにも仕事の環境にも完璧なドバイ


――現在、MALIA.さんは5歳になる三男の子育ての真っ最中かと思います。そんな中、生活の拠点をドバイに移されたと聞きました。なぜドバイなのでしょうか?

MALIA.さん(以下敬称略) 私は2018年に4人目の夫との間に三男のポコちゃんを出産しました。ポコちゃんというのはおなかの中にいたときからの彼の愛称です。おなかをポコポコけっていたから・・・。しかし2019年に離婚をすることになり、そこからシングルマザーとして最後になるであろう子育ての時間をしっかりかみしめたいと考えるようになりました。

そして、ポコちゃんに充実した教育を受けさせたいという気持ちから「子育てをする場所」を真剣に考えるようになりました。そこでビザや時差、安心・安全の環境があるドバイに注目しました。ドバイは多くの企業が集まり、国際大学があることから教育プログラムも充実しています。グローバルな環境の中で教育ができると感じて「教育移住」することを決めました。

――ドバイがポコちゃんの教育には必要な環境だったわけですね。

MALIA. ドバイは人口約300万人のうち8〜9割が外国人なので、学校に行くとさまざまな国籍の子どもたちと一緒に学びます。ポコちゃんの父親はブラジル人と日本人のハーフ。そして母親の私は、パキスタン人と日本人のハーフなので、彼はmixed blood(祖先が二つ以上の人種に属している人)で多くの国のルーツがかかわっています。

ポコちゃんには幼いころからいろんな国の文化や言語を知ってもらいたいという思いからドバイを選択しました。また、ドバイから私の父が暮らすパキスタンまでは飛行機で1時間半の距離なので、親戚にも会えることも利点だと思っています。いまではドバイに教育移住したことを本当によかったと感じています。

――MALIA.さんは実業家としても大活躍されていますが、海外での暮らしは仕事に影響を及ぼしませんか?

MALIA. それがドバイは私の生活にもマッチしているんです。日本とドバイの時差は5時間(日本が5時間先)なので、子どもたちが登校したら午後を迎える日本のスタッフたちとミーティングを開始します。午前中は日本のスタッフたちと仕事をして、日本が退社の時間を迎えるころには私もお迎えの時間になるのでそこからは子育てに専念できます。この時間配分が完璧なので、いまは仕事と子育てに全力投球できています。

現在は長女、三男と3人でドバイ暮らし


――MALIA.さんとポコちゃんにとって、ドバイという国を選択したことでいろんなことがスムーズにいくようになったわけですね。

MALIA. 渡航前にもある程度、ドバイでの生活は想像していましたが実際に生活を始めてみると「ドバイ、めっちゃいいじゃん」と思うことがどんどん増えていき、本当に快適です。そして、昨年までカナダに留学していた長女のありあも現在は私のところに戻ってきたので、ドバイで一緒に暮らしています。

――なるほど。では現在、ドバイにはMALIA.さんとありあさん、ポコちゃんの3人家族なのですね。

MALIA. “ポコちゃん”って呼ぶのは、もう5歳半なのでそろそろやめなきゃなって思っていますが、SNSの読者さんも“ポコちゃん”という名に親しみをもってくれているのでなかなかやめられなくて・・・(笑)

二男の愛郁(あいく)は現在、ニューヨークのアートスクールでファッションビジネスについて勉強しています。そして、プロサッカー選手の長男海鈴(かいり/ レノファ山口FC)は、結婚して2023年の12月に赤ちゃんが誕生しました。だから私はおばあちゃまなんです。

お孫ちゃんが生まれたあとにポコちゃんに「ポコちゃん、おじさんになっちゃったね」って言ったら、「おじさんじゃな〜い」ってとっても機嫌が悪くなって、家族みんなで大笑いしました。

うざいと思われても子どもたちのことは抱きしめる


――海鈴さんの誕生日当日のブログに書かれた「たくさん抱きしめて育てた息子が今日21歳になりました」という言葉が印象的です。

MALIA. 子どもたちのことは、母親であるということをいいことに“うざいの極限”くらい抱きしめています(笑)。写真を撮るときは当然のこと、出かける前や帰ってきてからも子どもたちとのスキンシップは大事にしています。これは子どもたちだけではなく、息子たちの恋人や、長男のお嫁ちゃんも同じように抱きしめています。

――これまでの子育てを振り返り、今どんなことを感じますか?

MALIA. 子どもが多いと大変なこともたくさんあります。でも、上の3人の子どもたちが小学1年、3年、5年のときの運動会は楽しかったな、みんなでいろんなところへ遊びに行ったな、など思い出すと頬がゆるみます。本当にあっという間に21年が過ぎていきました。

だから今、子育てが大変だと感じている人がいたら、子どもは日々成長しているということを伝えたいです。寝不足だった日はいつか終わり、そのうち親元を離れることもあるかもしれません。
子育てにはタイムリミットがあるということを理解し、人生のビッグイベントだと思って大いに楽しんでもらいたいです。私も最後の子育て真っ只中。ポコちゃんの子育てが集大成だと思って、毎日をかみしめています。

「性」の話は「恥ずかしいこと」ではなく、「大切なこと」だと教える


――MALIA.さんは性教育についても子どもたちとオープンに話していると聞きました。

MALIA. 性教育に関しては小さいころから日々の生活の中で話してきたことなのでわが家では今でもオープンです。息子、娘がティーンになってからは赤裸々に自分たちのことを話してくれるので、私のほうが「その先の話はいいわ」とさえぎるほどです。

――日本のお母さんたちにとってはかなり参考になることも多いように感じました。日本の性教育の課題はズバリどんなところだと思いますか?

MALIA. 性のことに限らず、これまで親子間で話してこなかったことを今日から突然話すと当然ですが両者、戸惑うと思うんです。だからやっぱり小さいころから普段の会話の中で性について話しておくことが大事だと思います。これまで話してこなかった家庭だとしても性のことは、「言えないこと」、「恥ずかしいこと」ではなく、「大切なことだから知っておいてね」というトーンで話し始めてほしいです。

――子どもに「性」について話すときのコツはありますか?

MALIA. 大人は子どもに対して「なんで」の部分をきちんと話してあげるべきだと思うんです。たとえば、中学生、高校生になって好きな人ができたらスキンシップするときには相手を尊重しなきゃいけないよと教えます。そして、避妊の方法や大切さを包み隠さず教えます。あるときは、「キスのとき、どうして舌を入れるんだろう?」という疑問について子どもたちと話し合ったこともあります。

これは私自身が子どものころ「なんで?なんで?」と、どんなことにも理由を聞きたがる子どもだったから。親になった今、今度は私が子どもたちの疑問に答える番だと思って性の話も理由もしっかり伝えたり、一緒に考えたりすることを意識しています。

お話・写真提供/MALIA.さん 取材・文/安田ナナ、たまひよONLINE編集部

今年の夏でドバイ生活が丸2年になるというMALIA.さん。コロナ禍は大変だったものの子育てや会社経営はその時期から大きく変わったといいます。
今回もドバイとオンラインをつなぎ、パワフルな話しをたくさん聞くことができました。

新保真里有さん(MALIA.)


PROFILE
モデル、実業家。1983年2月生まれ、横浜市出身。15歳でモデルデビュー。多くの誌面で表紙を飾るほど人気モデルとして活躍したのち、19歳で結婚。2002年に長男・海鈴さんを出産する。その後は2人目の夫との間に二男・愛郁さん、長女・ありあさんが誕生。2009年に自身の会社「Anela Inc.」を設立し、幅広い事業を展開。2018年には4人目の夫との間に授かった三男・海緒さんを出産。現在はシングルマザーとして長女、三男と一緒にドバイに移住している。2024年3月には『こどもも自分も一緒に幸せになる 育児育自論』(1760円/A-Works)を発売したばかり。

『こどもも自分も一緒に幸せになる 育児育自論』(A-Works)


MALIA.さんの思う「人生で大切にしなければならない16のこと」をMALIA.さんの言葉でていねいに語られた一冊。21年前に子育てがスタートしたときのことから、ドバイでの生活のことまで赤裸々に語られている。新保真里有著/1760円(A-Works)