日本の原風景とも言える棚田がコメどころ宮城県栗原市にあります。代々、地域住民よって大切に守られ、今年も田植えが行われました。棚田で稲作に励む農家の姿を追いました。

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コメどころ、栗原市若柳。その中山間地の蓬田(よもぎだ)地区に棚田が広がっています。広さは、およそ19ヘクタール。地元の農家23人が住民組織をつくり122枚の水田を守っています。去年12月には、国から指定棚田地域に認定されました。

棚田を守る狩野昌之さんです。トラクターで畔を整えていきます。コメづくりに励んで40年近くになる狩野さん。戦後まもなく、先代の父親たちが山を切り拓いて農地にしたといいます。

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狩野昌之さん:
「小さい田んぼで段々になっているので(作業は)楽ではない。(父から)継いだ以上はやっていかないといけないという気持ちで続けている。守っていくしかない」

「義理の父や母から受け継いだ財産を枯らしてはいけない」

4月。いよいよ種まきが始まりました。御年91歳、狩野さんの母、やよ子さんや近所の人も作業に加わり、ひとめぼれの種を機械で播いていきました。

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狩野昌之さん:
「みんなに手伝ってもらい助かっている。今年はちょうど種まきとサクラ一緒」

妻・しろみさん:
「義理の父や母から受け継いだ財産なのでそれを枯らしてはいけないと思いお父さんと一緒に(棚田を守っている。あとは息子夫婦にバトンをつなげられたらいい」

妻・しろみさん

そして5月16日。いよいよ狩野さんの田んぼで田植えが行われました。狩野さんは棚田のおよそ3ヘクタールでコメを生産しています。

狩野昌之さん:
「天気がいいことを願ってこれから見守っていきたい。収穫まで順調に行けばいい」

棚田を守る「輪」を作っていきたい

19日には尚絅学院大学で農業などを学ぶ学生7人が棚田を訪れ、昔ながらの手作業で田植えを体験しました。蓬田棚田を守る住民組織が今年初めて企画したもので、学生たちは、15センチほどに育ったひとめぼれの苗を丁寧に植えていきました。

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体験した学生:
「このような体験をしなかったら農家の皆さんの有難みがわからなかったが今回の経験でこんなにも大変と思って農家はすごいと思った」
「秋には金色の稲穂となって美味しいコメとなって僕のお腹に入ってくれたらいい」

狩野昌之さん:
「いろいろな輪を作っていけばこの棚田ももっともっと良くなると思う。ここで生まれ育ったので守っていかなければならない」

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農地を開拓した先祖の思いを胸に…原風景が広がる蓬田棚田は、コメどころの暮らしの中に息づいています。