F1第3戦のオーストラリア・グランプリで、ビザ・キャッシュアップ・RB(以下RB)の角田裕毅は、8番グリッドからスタートしたレースで7位入賞を飾り、今季初のポイント獲得を果たした。

【動画】今季初ポイント! 豪州GP、角田裕毅の激走をチェック 全セッションで好調ぶりを見せ、素晴らしいパフォーマンスを発揮して望外の結果を残した日本人ドライバーに対しては、各国メディアが軒並み高い評価を下したが、それは関係者も同様であり、RB首脳陣だけでなく、レッドブルのヘルムート・マルコ顧問も、角田への賛辞を惜しまなかった。

 レース後、記者団に対して「ユウキはレースで、非常に安定したラップタイムを記録した。我々は、彼が非常に成熟したドライバーとなったのを目の当たりにした」「彼は完璧な状態を保っている。今は順調に進化しており、ドライバー市場でも注目されている」と語った他、オーストリアの放送局『Servus TV』に対しても、以下のように角田を称賛している。

「彼は適切なスピードと、非常に特別な性格を有している。自分自身を型にはめないことで、それを好ましく思わない者もいるようだが、重要なのはスピードだ。彼が若いファンの間で大人気だという記事も読んだ」

「(豪州GPでは)一貫して良いラップタイムを記録した。(ハースのニコ・)ヒュルケン
ベルクに迫られた時、すぐに反応して3秒差をつけた。ハースは速かったが、ユウキは週末を通して完璧だった。間違いなく、成熟したF1ドライバーだ。彼は、我々に将来への自信を与えてくれる」

 一方、レッドブルの御大は、RBのもうひとりのドライバーであるダニエル・リカルドに対しては懸念を示しており、「開幕前のバーレーンでのテストでは良い兆候が幾つも見られたが、この数レースではあまり上手くいっていない。ダニエルには、安心し、自信をもって操れる車が必要だろう。チームがそれを彼に与え、彼が少なくともユウキと同じレベルに達することを願っている」と語った。

 このベテランドライバーは、ホームグランプリとなったオーストラリアGPで、予選ではラストアタックのタイムがトラックリミットで無効となり、Q1敗退の憂き目に遭い18番手に終わった。決勝では積極的な戦略で巻き返しを図ったものの、12位が精一杯。角田との差が一段と目立つ結末となってしまっている。 一部では、早々にリカルドがRBのシートを奪われ、レッドブルのリザーブドライバーであるリアム・ローソンに取って代わられるとも報じられているが、スポーツ専門放送局『FOX SPORTS』のオーストラリア版サイトは、「リカルドの“死”の噂は非常に誇張されたものだ」と主張した。
  同メディアは、「彼が開幕2戦で振るわず、メルボルンでの週末で調子を上げたいと考えていたが、そうはならなかった」として、去就に関する話題が上がるのは理解できるとしながらも、「かといって、レッドブルが“斧”を研ぐほどに事態は悪化したのか? 一部でセンセーショナルに報じられているように、4月末でシートを失う可能性があるほど、彼はペースを乱していたのか? 答えはノーだ」と綴り、さらに以下のように続けている。

「リカルドがマイアミGP(第6戦)を前にRBのシートを失う可能性があるという噂は全く根拠がなく、またオーストラリア人ドライバーが24戦という長いシーズン中の、たった3つのレースでキャリアを台無しにしたという議論も無意味である。彼に対する一部の過剰反応を見ると、リカルドがグリッド上で最もパフォーマンスが悪いドライバーであると思われるかもしれないが、その考えは実際の数字によって否定されている」

 こう綴り、同メディアは各チームの予選における両ドライバーの平均タイム差を算出。これによると、RBは開幕3戦で角田が「0.240秒」リードしているが、このタイム差は全体6番目に大きいもので、RB以上の数字を示したのはザウバー、レッドブル、ウィリアムズ、アストンマーティンの4チームだ。

 また、同様に平均最終順位の差も明らかにされ、ここでも角田がリカルドを「1.67位」優っている。こちらは10チーム中7番目の多さであり、レッドブル、ウィリアムズ、アストンマーティンの3チームがRBを上回っている。

 前者のデータでは、オーストラリアGPでのトラックリミットで無効になったタイムを見れば、さらに角田との差は縮まることもあり、他チームとの相対的な見方からも、決してリカルドがチームメイトに対して大きく後れをとっているわけではないと、同メディアは主張する。

 また、彼がフィードバックという点でチームに多大な貢献を果たしていることも強調。「今季だけでも、RBが前進を果たす上で(リカルドの働きは)極めて重要だった」と綴った同メディアは、マルコ顧問も同様の評価を通算8勝のドライバーに対して下していると伝えた。
  もっとも、『FOX SPORTS』豪州版サイトも、角田については「絶好調であり、元々得意だった予選での強さを武器に変え、予選ではトップ5相手に不利な状況にもかかわらず、2度もQ3進出を果たしている。彼はますます完成度の高いドライバーとして開花しつつある」と絶賛。対してリカルドを「期待を下回るパフォーマンスに終わっており、セルジオ・ペレスに代わってレッドブルのコクピットに収まるのは、非常に遠い目標だ」と評し、現状の厳しさは認めている。
  そして、「リカルドは、根本的にグラウンドエフェクト時代にフィットできないのか? 彼の自信は、マクラーレンで取り返しがつかないほど打ち砕かれたのか? あるいはレッドブルを去った後、彼は何か重要なファクターを失ったのだろうか? 答えは21レースで判明するだろう」と綴られ、記事は締められた。

 オーストラリアで弾みをつけ、母国レースに臨む角田に対し、リカルドはどのような反撃を見せられるか。日本GPでは、レッドブル・ジュニアチームの一員である岩佐歩夢(今季はスーパーフォーミュラ参戦中)がフリー走行1回目で出走することが決まっており、自身の走行機会が減ることになるが、RBの主役の座奪回を目指す34歳のパフォーマンスも要注目である。

構成●THE DIGEST編集部

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