「この2年間はプレーオフに出られなかったから最悪だった。早めの休暇になって、昨年なんてコーチェラ(カリフォルニア州で開催される音楽フェス)に行ったんだ。これまでコーチェラへ行ったことなんて一度もなかった。毎年プレーオフでプレーしていたからね」

 そう語ったのは、ミルウォーキー・バックスのデイミアン・リラード。昨季まで11年間所属していたポートランド・トレイルブレイザーズでは、2014年から2021年まで8年連続でポストシーズンに出場するも、過去2年はプレーオフに進めずにシーズンを終えていた。

 そんななか、今季はバックスの一員として3年ぶりにプレーオフへ復帰。ただ、チームはイースタン・カンファレンス3位の49勝33敗(勝率59.8%)と期待ほどの成績は残せず、ファーストラウンドの相手であるインディアナ・ペイサーズ(47勝35敗/勝率57.3%)とは、シーズン中の対戦で1勝4敗と負け越していた。

 加えてチームは、今季平均30.4点、11.5リバウンド、6.5アシスト、1.19スティール、1.08ブロックを残す大黒柱のヤニス・アデトクンボをふくらはぎの負傷で欠いていたこともあり、不安材料は少なくなかった。

 しかし、4月21日(日本時間22日、日付は以下同)にホームのファイサーブ・フォーラムで迎えたシリーズ初戦で、バックスは109−94でペイサーズを一蹴。
  リラードは前半だけで6本の3ポイントを含む35得点(ペイサーズは42得点)を叩き出し、前半におけるフランチャイズ最多得点記録を樹立。後半は無得点に終わったが、35得点、6リバウンド、3アシストで見事なスタートを切った。

「全部が俺にかかっていたとは思わない。ただ、俺はもう少しアグレッシブに、かつ自信を持って一歩先へと向かって行かなきゃいけないのはわかっていた」

 33歳のベテランガードはそう切り出し、さらにこう続けていた。

「プレーオフでは、チームを方向づけることが大事になってくるんだ。何度も対戦してきた相手と戦うんだから、自分のことを築き上げたいものさ。ホームではなおさらね。それが俺のメンタリティであり、雰囲気を作り出そうとしたのさ」

 初戦を制したバックスでは、リラードのほかにクリス・ミドルトンが23得点、10リバウンド、4アシスト、ボビー・ポーティスが15得点、11リバウンド、ブルック・ロペスが11得点、3ブロック、パトリック・ベバリーが7リバウンド、8アシスト、2スティールをマーク。

 ドック・リバースHC(ヘッドコーチ)は「彼が我々を引っ張ってくれた。素晴らしかったよ」とリラードのパフォーマンスを評価しつつ、「チームのみんながアクティブだったし、ゲームプランを遂行してくれた」と選手全員を称賛し、勝利を喜んでいた。

 第2戦は23日、再びバックスのホームで行なわれる。引き続きヤニスを欠くなか、抜群の勝負強さを誇る“デイム”はチームを連勝に導くことができるか。

文●秋山裕之(フリーライター)

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