現在開催中の男子テニスツアー「ムチュア・マドリード・オープン」(4月24日〜5月5日/スペイン・マドリード)は現地30日にシングルス4回戦が行なわれ、今季限りでの現役引退を示唆している元世界ランク1位のラファエル・ナダル(スペイン/現512位)が登場。第30シードのイリ・レヘチュカ(チェコ/同31位)に5-7、4-6で敗れ、2年ぶりのベスト8入りはならなかった。

 前週の「バルセロナ・オープン」(ATP500)で約3カ月ぶりにツアーに復帰したナダルは、今大会にプロテクトランキング(負傷離脱前の順位でエントリーできる救済措置)で出場。初戦でダーウィン・ブランチ(アメリカ/1028位)、2回戦でアレックス・デミノー(オーストラリア/11位)をいずれもストレートで下すと、3回戦では3時間を超える大激戦の末にペドロ・カチン(アルゼンチン/91位)に勝利していた。

 地元ファンの大声援を背に臨んだ4回戦、ナダルは積極的に攻めてくるレヘチュカに苦戦を強いられるも何とかキープを継続。しかし終盤の第11ゲームで痛恨のブレークを許してしまう。そのまま第1セットを落としたナダルは、第2セットも第1ゲームで早々にサービスダウン。以降もレヘチュカのサービスを破れず、2時間1分で力尽きた。
  試合後には「マドリードは今年が最後になると思う」と話していたナダルのために特別セレモニーを挙行。センターコートには同大会を5度(2005、10、13、14、17年)制したナダルを称える形で優勝した年と「ありがとう、ラファ」のメッセージを記した5つの横断幕も掲げられた。

 トーナメントディレクターで同郷の盟友フェリシアーノ・ロペス氏(元12位)からトロフィーを受け取ったナダルは、オンコートインタビューで改めて「マドリードはこれが最後です」と断言。上記の横断幕を見上げながら大会の思い出を回顧しつつ、心からの感謝の言葉を口にした。

「横断幕を見ると、その一部はまるでずっと昔のことのように思えます。僕にできるのは、僕のキャリアを支えてくれた全ての人に感謝することだけです。過去21年間、この大会は僕に、自分が優勝したどのグランドスラム(四大大会)よりも大切な贈り物をくれました。マドリードでスペインのファンの前でプレーした時の感動は僕の中で永遠に残るものです」

「言えるのは『ありがとう』だけです。初めてマドリードでプレーしたのは2003年大会で、その時はまだ室内開催でした。僕がここで初めて戦えると感じたのは05年大会で、そこでの初優勝は、僕のキャリアの中で最もエキサイティングな瞬間の1つでした。それからも皆さんからの温かいサポートは絶え間なく続いていました。皆さんには感謝してもしきれません。マドリードで大会を開催してくれたことにも感謝しています」

 なおセレモニー後の会見で、ナダルは約1カ月後に迫る四大大会「全仏オープン」(5月26日〜6月9日)の出場についてひとまずは保留。「ローマ大会(5月8日〜19日/ATP1000)が終わったら話すよ」と述べるにとどめた。

文●中村光佑

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