2021年全米オープン覇者のエマ・ラドゥカヌ(イギリス/世界ランキング212位)が、一足早くクレーコート・シーズンを終えて、6月からのグラスコートに集中する意向だ。

 出場を予定していた「全仏オープン」予選開始の24時間前になって棄権。ギリギリの判断だったが、ケガや病気などのトラブルではなく、残りのシーズンに向けてフィジカル面のベースアップをはかることが狙いだという。ラドゥカヌは棄権の理由をこう説明している。

「基礎を固め続けることが私にとって重要であり、芝シーズンとその後のハードコートシーズンの前に時間をかけて健康的なブロックを行うことで、今年の残りに向けて調子を整えるチャンスを得たいと思います」

 2021年、初のグランドスラム本戦となった「ウインブルドン」で4回戦に進出すると、「全米オープン」では予選から全てストレート勝ちを収め、18歳で優勝を果たしたラドゥカヌ。

 10代にしてセンセーショナルなデビューを果たしたが、その後は苦しい状況が続いた。ツアーでは早期敗退が続き、2022年のベストリザルトは、WTA500大会「韓国オープン」での準決勝進出。さらに昨年は両手首と足首の故障により、4月のクレーシーズンを最後に戦線離脱。待望の復帰を果たしたのは、今シーズンの開幕戦だった。
  今年の「全豪オープン」も含めて、2022年以降のグランドスラム(四大大会)で彼女が2回戦を突破したことはないが、4月開催の国別対抗戦「ビリー・ジーン・キング・カップ」(フランス・ルポルテル/クレー)でフランスを相手に2勝を挙げてイギリスを勝利に貢献。続く「ポルシェ・グランプリ」(ドイツ・シュツットガルト/クレー)では準々決勝に進出するなど、クレーシーズンはまずまずの滑り出しに思われた。

 だが、同月末に「マドリード・オープン」(スペイン・マドリード/クレー)の1回戦で、アルゼンチンのマリア・ルデス・カルレ(同83位)にストレートで敗退。「精神的にも感情的にも疲れていた」と話した21歳は、それ以来、大会にはエントリーせず、ロンドンのナショナル・テニス・センターで練習を続けている。

 そしてこのほど明らかになったのが、次の出場大会。ローンテニス協会の発表によれば、「全仏オープン」の予選をスキップしたラドゥカヌは、6月8日からノッティンガムで開催される「ロッセイ・オープン」にエントリー。昨年全休したグラスコート・シーズンを、母国での開幕戦からスタートさせる。なお、彼女のランキングは212位だが、プロテクトランキング(負傷離脱前の順位でエントリーできる救済措置)は103位。ウインブルドンの補欠7番目となっている。

構成●スマッシュ編集部

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