「物語の世界に溺れたい」。そんな気分の日は、せっかくならば、とびきり面白い小説に触れたいものだ。そこで今回は、月額料金980円(税込)で200万冊以上の書籍が読み放題となる「Kindle Unlimited」の中から、オススメの作品を10作品ご紹介する。紹介するのは、誰もが認める傑作ばかり。きっとあなたを虜にする1冊が見つけられるに違いない。
■一体どこで騙された!? 二度読み必至、快楽殺人鬼の軌跡を追う衝撃ミステリー
「新装版 殺戮にいたる病(講談社文庫)」(我孫子武丸/講談社)
頭を殴られたような衝撃に、思わず、絶句。放心。読む者を巧みに騙す叙述トリックを取り入れたエログロミステリーが「新装版 殺戮にいたる病(講談社文庫)」(講談社)だ。
描かれるのは、東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねるサイコ・キラー、蒲生稔の姿。繰り返される凌辱の果ての惨殺は、あまりにも過激で目を背けたくなるほど。そして、震えながら、殺人鬼の行動と魂の軌跡をたどれば、いつの間にか作者の仕掛けた罠にまんまと嵌り込んでしまっている。
最後の最後に、描いていた世界が一瞬で音を立てて崩れ去っていく。二度読み必至。これほどまでに読む者を愕然とさせるミステリーは他にはないといっても、決して過言ではないだろう。
■「稀代の悪党」松永久秀が胸に隠した信念…現代にも通じる戦国の世の壮大な物語
「じんかん」(今村翔吾/講談社)
戦乱の世を描きながらも、これは現代にも通じる物語だ。世の中は単純に善悪など決められない。それなのに、どうして、人々は「悪」と決めつけたものを徹底的に叩こうとするのだろうか。
そんなことを思わされたのが、今村翔吾氏による歴史小説「じんかん」(講談社)だ。描かれるのは、松永久秀。仕えた主君を殺し、天下の将軍を暗殺し、東大寺の大仏殿を焼き尽くした「稀代の悪党」と知られる戦国武将だが、この作品を読むと、そのイメージはガラリと変わる。どんな事態に見舞われても、自分の正義を貫き通す。そんな主人公の姿はあまりにも美しい。まるで大河ドラマのような壮大なスペクタクル。普段歴史小説を読まない人でも心揺さぶられるに違いない名作だ。
■殺人鬼が殺人鬼を調査!? 予想外の真相に度肝を抜かれる叙述ミステリー
「ハサミ男(講談社文庫)」(殊能将之/講談社)
心底「やられた」と感じさせてくれる、鮮やかな手口。タイトル通りの、切れ味抜群の叙述ミステリーが「ハサミ男(講談社文庫)」(殊能将之/講談社)だ。
美少女を殺害し、鋭利に磨かれたハサミを死体の首につきたてる猟奇殺人犯、通称・ハサミ男。ある時、3人目の犠牲者を決めたハサミ男は、その少女の死体を発見する。それも、彼女は自分の手口を真似て殺されていた。一体、誰が自分の真似をしているのか。ハサミ男は調査を始めることになり……。
犯人と刑事の視点が入り交じりながら物語が進んでいくが、そこには大きな仕掛けが隠されている。予想外の真相には誰もが度肝を抜かれること間違いなし。
■あなたも必ず騙される!大どんでん返しが鮮やかな爽快コンゲームミステリー
「カラスの親指 by rule of CROW’s thumb(講談社文庫)」(道尾秀介/講談社)
張り巡らされた伏線と、その鮮やかな回収。ラストの大どんでん返しに「騙された」と驚かされつつも、胸にじんわり感動が広がる。そんな爽快なコンゲームミステリーが「カラスの親指 by rule of CROW’s thumb」(道尾秀介/講談社)だ。
主人公は、2人で暮らす中年詐欺師、武沢と入川。ひょんなことから、彼らの生活に1人の少女が加わり、同居人は増えに増え、5人と1匹に。奇妙な共同生活が始まったが、武沢の因縁の相手が彼らの生活を脅かすようになり、彼らは人生を懸けた大計画を企てる。
息もつかせぬ逆転劇、そして驚愕の結末。あなたもこの詐欺師たちに騙されてみてはいかがだろうか。
■SF要素あり、哲学要素あり! 知的好奇心を満たす極上の理系ミステリー
「すべてがFになる THE PERFECT INSIDER S&Mシリーズ(講談社文庫)」(森博嗣/講談社)
「すべてがFになる THE PERFECT INSIDER S&Mシリーズ(講談社文庫)」(森博嗣/講談社)は、あなたの知的好奇心を満たしてくれるに違いない作品。森博嗣氏だからこそ描けた緻密な理系ミステリーだ。
絶海の孤島の密室殺人と、その意外なトリックの面白さはもちろんのこと、この作品はSF要素も哲学要素もクセになる。20年以上も前の作品なのに、まるで現在の世界を予言するかのような記述の数々にあっと驚かされるし、何よりも天才たちの洒脱な会話にも惹きこまれる。「人間とは何か?」「愛とは何か?」と考えさせられる言葉がいくつも出てきて、思わず、読み手も唸らされてしまう。その難解な思想も含め、現代の生き方への有益な示唆に富む傑作だ。
■“どんでん返しの帝王"中山七里の傑作! 震災と社会福祉制度の闇に斬り込む社会派ミステリー!
「護られなかった者たちへ」(中山七里/宝島社)
この物語は、決して他人事ではない。そう思わされたのは、社会福祉制度に鋭く斬り込む社会派ミステリー「護られなかった者たちへ」(中山七里/宝島社)。佐藤健主演で映画化されたことも記憶に新しいのではないだろうか。
舞台は、東日本大震災から10年を経た宮城県仙台市。不可解な殺人事件と、その事件の数日前に出所した模範囚。やがて事件は次第にひとつの像を結び、生活保護制度をめぐる悲痛な現実が明らかになっていく。
著者の中山七里といえば、“どんでん返しの帝王”の異名をもつ作家だが、本書の結末にも驚きの仕掛けが。それが物語全体を貫くテーマと密接に結びついていることにも注目したい。コロナ禍で人々の格差がさらに拡大した今だからこそ、心に突き刺さる作品。
■読めば、恋がしたくなる!キュートでポップな初恋ファンタジー小説!
「夜は短し歩けよ乙女(角川文庫)」(森見登美彦/KADOKAWA)
好きな人を追いかけ続けることこそが、恋の醍醐味だ。「夜は短し歩けよ乙女(角川文庫)」(森見登美彦/KADOKAWA)は、キュートでポップな初恋ファンタジー小説。四季折々の京都を舞台に繰り広げられる男女の恋愛模様は、私たちをぽかぽかと温かい気持ちにさせてくれる。
黒髪の乙女にひそかに想いを寄せる先輩は、京都のいたるところで彼女の姿を追い求める。「ま、たまたま通りかかったもんだから」という台詞を喉から血が出るほど繰り返す先輩に、彼女は天真爛漫な笑みをもって「あ!先輩、奇遇ですねえ!」と答え続ける。後半にはまるでコロナ禍を予言したかのような場面も。2人を待ち受ける珍事件の数々、そして運命の大転回から目が離せない。読み終えた時、思わず「恋がしたい」と、そう思ってしまうことだろう。
■おいしい料理と不器用な優しさ……人間不信に陥った時に読みたい温かなヒューマンストーリー
「エミリの小さな包丁(角川文庫)」(森沢明夫/KADOKAWA)
誰のことも信じられないような気分になった時、ぜひとも読んでほしいのが「エミリの小さな包丁(角川文庫)」(森沢明夫/KADOKAWA)。人の限りない優しさと心の再生を描くこの温かな物語を読めば、きっと「もう一度誰かを信じてみようかな」と思えてくる。
恋人に騙され、職業もお金も、居場所さえも失った25歳のエミリは、藁にもすがる思いで10年以上連絡を取っていなかった祖父の家へ転がり込む。淡々と包丁を研ぎ、食事を仕度する祖父の姿を見ているうちに、人間不信に陥っていたエミリの心に少しずつ変化が生じていく。そんな変化を追ううちに、気づけば、涙がこぼれそうになる。おじいちゃんのおいしい料理と不器用な優しさが、きっとあなたの胸にも沁みてくるに違いない。
■いきなり総理の「替え玉」に!? 売れない役者が政界を動かす痛快なエンターテインメント小説
「総理にされた男(宝島社文庫)」(中山七里/宝島社)
「総理にされた男(宝島社文庫)」(中山七里/宝島社)は、首相と瓜二つの売れない役者・加納慎策がひょんなことから首相の「替え玉」を頼まれ、政界を動かしていく痛快なエンターテインメント小説だ。
現実社会の問題を投影したストーリーと、その問題の裏に隠された政治や経済のからくりは、最後まで読み手を飽きさせない。そして何より心揺さぶられるのは、首相になりきった慎策が理想の政治を目指してある大英断を下し、国民をも動かしていく驚きのラスト。「国民のための政治とは何か?」この小説が、そんな漠然とした疑問について考える糸口になるのは間違いないだろう。
■こんなに切ない殺人者がかつていただろうか…完全犯罪を目指す高校生の葛藤と孤独
「青の炎(角川文庫)」(貴志祐介/KADOKAWA)
人間はほんのひとつのきっかけで変わってしまうものなのかもしれない。「青の炎(角川文庫)」(貴志祐介/KADOKAWA)は、前途ある少年の悲劇を描き出す、あまりにも切ないミステリーだ。
17歳の少年・秀一は母と妹と三人で穏やかに暮らしていた。だが、母の元夫・曾根が家に居座るようになってから、平和だった家庭は一変。曾根は傍若無人に振る舞い、母ばかりか妹にまで暴行を働こうとする。やがて、警察や法律では問題が解決できないと悟った秀一は、自らの手で曾根を殺害する決意を固め……。
読後、しばらく他のことが手につかないくらい強い余韻が残る。あなたの心もきっと強く揺さぶられるに違いないだろう。
Kindle Unlimitedで読める小説は本当にたくさんある。ミステリー、恋愛小説、ヒューマンドラマ……。それが、わずか月額料金980円(税込)で読み放題となると思うとワクワクさせられてしまう。おまけに、30日間のお試し期間ならば無料で体験できる。まずは一度、あなたもKindle Unlimitedを試してみてはいかがだろうか。
二度読み必至の衝撃ミステリー、極上の理系サスペンスほかホラー・ミステリーの名作小説を一気読み「Kindle Unlimitedで読み放題の小説10選」
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