2024年春、荒牧慶彦と梅津瑞樹の新たな挑戦が始まる。

4月5日(金)より明治座にて、荒牧が企画し、梅津と共にW主演を果たす剣劇「三國志演技〜孫呉」が開幕する。孫家に仕えた才能あふれる周瑜を演じる荒牧と、孫呉の礎を築いた勇猛果敢な孫策を演じる梅津。2人は舞台「刀剣乱舞」での共演以降、多くの作品や企画で共演している。

そんな2人がW主演として挑む本作への思いや、共演者の印象などを聞いた。

■互いの存在は「もっと知りたい」「いろんな景色を見せてくれる」

――荒牧さんが企画を手掛ける「三國志演技〜孫呉」。どんな作品になりそうでしょうか。

荒牧:小さい頃から大好きな「三國志」の物語を“もっと多くの人に知ってもらいたい”“殺陣にスポットを当てた作品を作れたら”という気持ちから、剣劇「三國志演技〜孫呉」というタイトルにしました。

今回は「三國志」の中でも、孫呉の孫策と周瑜を中心とした物語です。企画ということで僕の名前が先にきていますが、物語の主軸は梅ちゃん(梅津)が演じる孫策。僕は、周瑜としてそのサポートに回る役柄となります。

梅津:なるほど。(取材時点では稽古前のため)まだ僕はビジュアル撮影のときに、ふわっといくつかキーワードを聞いただけの状態なので、どんな作品になるのだろうか…と思っているところです。

――梅津さん演じる孫策と荒牧さん演じる周瑜は、強い絆で結ばれた義兄弟で親友という関係性です。お2人はお互いのことをどういった存在だと感じていますか。

荒牧:僕は梅ちゃんのことが“すごく気になる”って感じですね。性格的にも人柄的にも不思議な子なので。最初の共演時から「もっと知りたい、梅ちゃんのこんなところが見てみたい」って思うことが多かったです。

梅津:初めてご一緒したときから、僕にとっては背中を追いかけている、ずっと先に立っている人ですね。

最初のご縁から時間がたった今でも、追いかけたいと思える人だし、毎年“こんなことをするんだ!”って驚かされるので「自分も負けてられないな、いろんなことやっていこう」と、背中を見ながら常々思っています。だって明治座で、おみそ汁も作るんですよ?

――おみそ汁ですか?

荒牧:そうなんです。今回ありがたいことにいろいろなご縁がつながって、オリジナルのおみそ汁を作らせてもらうことになりまして。僕と梅ちゃんが作ったフリーズドライのおみそ汁をグッズで出します。

梅津:もう意味が分からないじゃないですか? 人生でみそ汁を作る機会がこようとは(笑)。

荒牧:僕も思ってなかったよ(笑)。

梅津:面白いですよね。まっきーさんはこうやって、僕にいろんな景色を見せてくれる存在です。

■廣野凌大、早乙女友貴ら…荒牧&梅津から見る共演者のイメージは?

――共演者の方々も豪華な顔ぶれがそろっていますが、その役どころや印象について教えてください。まずは廣野凌大さん演じる孫権は、梅津さん演じる孫策と兄弟役ですね。

荒牧:共演したことあるんだっけ?

梅津:一応あります。ただ、もうだいぶ昔ですね。すごくいい人らしいというのはうわさで聞くのですが。

荒牧:僕は絡むことが多いんですが、彼は彼なりのポリシーがあって、彼なりのキャラクター性で、登り詰めていこうとしている人という印象ですね。

彼のキャラクター性って結構尖っているし、多分否定されることも多いんだろうけど、それを貫くためのしっかりとした土台はあるんですよ。自分の生き方を貫くからこそ、まわりへのリスペクトだったり、感謝だったり、礼儀正しさだったりをすごく持っている。

なので、僕もすごく好きな俳優の1人なんですよね。多分梅ちゃんも好きだと思う。

梅津:なるほど。

荒牧:(廣野が演じる)弟の孫権って、若い頃はやんちゃだったみたいな説が結構あるんですよ。そのやんちゃ具合に振り回される孫策っていうのが見られるんじゃないかなって楽しみです。

梅津:僕以上にやんちゃなわけですね。

荒牧:そう! 孫策はやんちゃだけど、どこか君主として筆頭に立っている自覚はある。孫権は弟なので奔放な部分がある、そんなキャラクターにしたいなと思っています。

梅津:現時点ではまだビジュアル撮影をしただけなので、全体的にふわっとしていたのですが、この話を聞いてだいぶ孫策へのイメージがつかめてきたかもしれないです。

――程普役の富田翔さんはいかがでしょうか。

荒牧:翔さんは大好きな先輩ですね。どんどん若い子が活躍していって、僕ら世代も含めて、僕ら以上の世代の人たちってどうしてもサブとして支えるポジションになってしまうことが多い。

それは自然なことではあるんですが、今回はそうじゃなくて、メインどころとして彼が持っている熱さや実力というものを、いかんなく発揮してもらえたらいいなと思ってオファーさせていただいたんです。

程普役・富田さん、黄蓋役・高木トモユキさん、韓当役・郷本直也さんは、ちょっと頑固で若者を認められない“偏屈なおじさん”たちにしたいなと。周瑜と孫策が実力を発揮していくから、しぶしぶ認めざるを得ない…みたいな感じにしたいんですよね。

梅津:なるほど。翔さんは僕の中では、ウィットに富んだ面白い方というイメージですね。そういうものがじんわりとにじむようなお芝居をされる印象なので、今回は“偏屈おじさん”をどう演じられるのか楽しみです。高木さんや郷本さんとは初共演ですね。

荒牧:トモさん(高木)はご本人そのまま真っすぐな熱い男でいてもらいたいなと思っています。なおやん(郷本直也)にはスンとしている、ちょっと格好良くセクシーなキャラをやってもらいたいなと構想中です。

――劉表役の冨田昌則さんも多岐にわたってご活躍されていますね。

荒牧:冨田さんは一見怖そうだけど、すっごく優しい方。劉表って優しくてみんなを包み込むんだけど、腹の中になにか隠し持っているような描かれ方をすることが多いので、そういうイメージですね。ベテランの先輩方には僕から言えることはなくて、それぞれが作ってくださるキャラクターを僕自身も楽しみにしています。

――その劉表が仕えている黄祖は、玉城裕規さんが演じられます。

荒牧:たまさん(玉城)は芝居も殺陣も、いろんなものがうまい方という印象ですね。ご本人にも不思議な色気があるので、黄祖も狂気を孕んだ人物として演じてもらいたいなと考えています。

――殺陣でいうと、早乙女友貴さん演じる太史慈VS孫策の一騎打ちは見どころの一つかなと思うのですが…。

荒牧:そう! そこはね、梅ちゃんバチバチに戦わせるからね。

梅津:考え方がポケモンバトルじゃないですか(笑)。「行け、ウメツ!」って。でも蓋を開けたら、両者が袖からバーッと走ってきて、すれ違いざまの居合で終わるかもしれないし。

荒牧:そんな楽はさせないよ(笑)。

梅津:(笑)。楽はさせていただけないようなので、どうにかしてあの早乙女さんに勝てるという説得力のある殺陣をしなきゃいけないですね。頑張らないと。

――そして孫策の父親・孫堅役を[B]EXILEの松本利夫さんが演じます。共演経験は?[/B]

荒牧:ないんですよ。関係各所の皆さまと、孫堅にはどんな人が合うかと会議をした際にお名前が挙がって。もし出ていただけるならぜひと。僕はEXILE世代なので、個人的にすごく共演が楽しみです。

梅津:父さんはEXILE。いいですね、自慢できます(笑)。

■2.5次元舞台の殺陣はキャラクターありき

――太史慈との一騎打ち以外にも、殺陣が見どころの作品になるかと思います。殺陣へのこだわりは何かありますか。

梅津:殺陣をやる舞台って、やっぱり2.5次元作品が多いんです。2.5次元作品だと原作があるので、役ごとの動きの特徴みたいなものが、殺陣の中で見えるようにっていうのは意識しているかもしれないです。今回の孫策だと、荒々しい感じになるのかなと想像しています。

荒牧:ギリギリのところで止めて斬ったように見せるパフォーマンスって、本当に人の心を打つんですよ。そこがすごく僕は好きですね。『殺陣まつり〜和風三国志〜』で百人斬りや影絵斬りを経験したことで、改めて殺陣というものが好きなんだなと実感しました。

――最後に、意気込みとともに本作におけるご自身にとって挑戦について教えてください。

梅津:“剣劇”とわざわざ書いてあるということは、おそらく殺陣が多いんだろうなと。芯のある芝居はもちろん、殺陣という部分が挑戦になるんじゃないのかなと、想像ではありますが考えています。

自他ともに干渉するのもされるのも嫌いなタイプなので、人に圧をかけるような役というのも挑戦になりそうです。その姿も含め、ぜひ楽しんでもらえたらと思います。

荒牧:“剣劇”という、舞台でもミュージカルでもない一つのジャンルを作れたらいいなと思っています。「三國志」自体や孫呉の物語を好きになってもらうのはもちろんですが、同時に殺陣ショーみたいなことがしたくて“剣劇”としました。二部には「スペシャル殺陣ショー」もありますので、そちらも楽しんでもらえる作品を皆さんに届けられるよう、しっかりと作っていきたいと思っています。

◆取材・文=双海しお/スタイリスト=ヨシダミホ/ヘア&メーク=鈴木りさ/衣装協力=<荒牧>パンツ(CASPER JOHN/Sian PR)、ネックレス&ブレスレット(共にAIVER/Sian PR)、<梅津>パンツ&ネックレス(共にAIVER/Sian PR)