4月9日に放送された野球トークバラエティ「ダグアウト!!!」(毎週火曜夜10:00-11:00、BSJapanext<263ch>)。今回のゲストは5年連続2桁勝利を記録した清水直行と、527試合連続救援登板を達成し“鉄腕”という異名を持つ藤田宗一の“元千葉ロッテマリーンズ”組だ。エース投手の2人による、「対イチロー」に関する知られざるエピソードが明になった。

■自らの経験を生かして日本から世界へ

清水は現役を引退したあと、日本を飛び出して活躍している…そんな話を小耳に挟んだという岡田。確認してみると、たしかに清水は引退後にニュージーランドへ行ったそうだ。

現役引退後、解説の仕事でWBCの本戦である1次ラウンドに出場するための試合“予選の予選”を見たという清水。日本は予選免除となっているため「予選がおこなわれている」こと自体知名度が低いようで、「日本って知らんうちに決勝出てると思ってた」と岡田も驚いたようすを見せた。それは清水も例外でなく、当時は「あ、予選やってるんや」など岡田と同じことを思ったエピソードを明かす。

そんな清水が見たのは、台湾対ニュージーランド戦。「台湾がニュージーランドと戦ってんの」岡田からさらに驚きのリアクションが飛び出した。岡田と同じように当時の清水は「ニュージーランド野球やってんの?」と思ったようだ。

ラグビーとクリケットのイメージが強いニュージーランド。対戦相手は強豪・台湾ということもあり、台湾のワンサイドだと思いながら試合を見ていたのだがこれがそうはならなかった。なんと7回まで0-0という緊張の試合。清水は「嘘やと思ったんですよ」「(ニュージーランドって)強いの?」と、当時のことを振り返りながら興奮したようすで語る。

当時投げていた選手は後にメジャーへ行ったというが、ニュージーランドからもメジャーを目指せる選手がいるということを目の当たりにした清水。野球が盛んな日本で育った清水は、その試合を観たとき「野球が盛んじゃない国で野球が育っていくのを見てみたい」と思い、ニュージーランド行きを考え始めたという。

清水はこの思いを何とか届けようと、日本の野球環境や「何か自分ができることはないか」という思いを日本語でしたためた。そして手紙を学生に訳してもらい、笹川スポーツ財団を経由してニュージーランドの野球連盟の元へ送ったそうだ。

すると、ニュージーランドの関係者から「君、本物の清水直行か?」と連絡が。そこから話が進み、2週間ほどでオンラインの顔合わせまでたどり着いたという。野球で何かお手伝いさせてほしいと伝えると「1回遊びでもいいから来たら」と誘われ、初めてニュージーランドに行った清水。

「そこからニュージーランドの野球関連のサポートを?」と岡田に聞かれると、「話せば1時間では足りないんです」と笑いを誘った。どうやらまだまだ積もる話がありそうだが、いつか聞く機会はあるのだろうか。

■現役時代に“負けたくなかったライバル”

続いて、現役時代やプライベートなど球界の気になる話をアレコレ聞きまくる“球界アレコレ話”のコーナー。“球界相関図”と題して、ゲストの知られざる人間関係を深掘りする人気コーナーだ。話題は藤田の“負けたくなかったライバル”について。藤田の口から出てきたのは、球界のレジェンドことイチロー選手だ。

「ほとんど投げさせられました。イチロー選手のときは」と当時を振り返る藤田。すると岡田も、ピンチになったときは藤田がマウンドに上がっていたところをよく見たと思い出す。「まぁ結構ね、いいバッターなんでね。スーパースターなんでね」という藤田のイチロー評に、スタジオからは笑いが起こっていた。

イチローと戦うにあたり、どういった作戦を練っていたのかを聞かれた藤田。イチローは藤田の生命線の1つであるスライダーをカットしまうため、「どうしたら抑えられるんだ」と悩んでいたそうだ。ロッテの投手陣を集めて、ミーティングまでしていたという。

するとそこで、「僕はあんまり打たれてないですけどね。」「僕は、10打数0安打か、10打数1安打だったと思うんすよ」と急に話しに入ってくる清水。「ほんまかいな」と藤田からツッコミが入っていた。

すると岡田から、「藤田さんのオンステージやねん」「さっきニュージーランドでオンステージしたやろ!」と鋭いツッコミが入る。そんな岡田に、笑いながら口に手を当てて「ごめんなさい」を連呼する清水。それを見た藤田は「しゃべりたがりなんで」と優しく清水をフォローするが、清水は「まだあるよ、まだある」とどうしてもしゃべり足りないようすを隠さない。

バラエティ向きの明るい清水だけに、またどこかでじっくりと話を聞かせて欲しいものだ。

■再登場を待たれる話好きゲスト

軽快なトークでスタジオを何度も沸かせてくれた清水と藤田。そのうち清水は日本を飛び出し、野球の素晴らしさを伝えるために世界を股にかけて活躍している。現役時代から培ってきた経験や知識を活かして、野球が盛んではない国へ野球の普及活動に取り組んでいるところから野球にかける熱い思いが感じられた。

世界へと野球を広めるきっかけを事細かに、軽快なトーンで語るさまはまさにコミュニケーション能力のかたまり。まるで「ダグアウト」で話をしているかのような空気感…を旨とする同番組の空気を差し置いても、活き活きとしているように見える。

清水のように「1時間では語り足りない!」という選手は意外に多いはず。今後まだまだ話を聞きたい選手は大勢いるが、また語り切れなかった選手が再登場する回も楽しみに待ちたいものだ。