初恋の記憶をめぐり18年前と現在の思いが切なく交錯するラブストーリー「青春18×2 君へと続く道」は、日本と台湾チームがコラボレーションした作品。主演を務めたのは、ジミー役のシュー・グァンハンとアミ役の清原果耶。台湾で出会い、青春と呼ぶにはあまりに切なく儚い恋に落ちるふたりを瑞々しく演じている。WEBザテレビジョンでは、清原に台湾ロケの思い出やグァンハンとの撮影現場でのエピソードを語ってもらった。

■何気ない日常が全部青春のひとかけら

――切り取られる風景の数々が本当に美しくて、台湾へ旅したくなるすてきな作品でした。完成した作品をご覧になったご感想からお伺いしたいです。

私は自分が出演させていただいた作品を客観的に観ることができないのですが、この作品も同様で。撮影の日々から1年経っても、アミの記憶を鮮明に覚えすぎていて、涙が止まらなくなりました。ジミーが旅をしている風景を見ると泣けてきて、エンドロールまでずっと涙を流していました(笑)。

――とくに後半は切なすぎて、涙が止まりませんでした。この物語はどんな所が魅力のお話だと思いますか。

タイトルに“青春”とある通り、青春時代の初恋を描く、とにかく柔らかい印象のやさしいお話です。青春ってどういうものだったか振り返ってみると、意外と何気ない日常が全部青春のひとかけらであったりするんですよね。

何気ない日常の大切さが身に染みるような作品だと思います。大人になったジミーと一緒に青春だった過去を振り返れるような時間が流れるので、そこもこの作品の魅力になっています。

――清原さんが演じたアミは、18年前にバックパッカーとして台湾を訪れ、ジミーと出会います。現在と過去では演じ方が違ったかと思いますが、ジミーと出会った頃のアミを演じるにあたって大切にされたことは?

何事もピュアに受け取って返すことを意識していました。アミは興味を持ったことには好奇心の赴くまま動く、かわいらしい部分を持っているので、そんな魅力が際立つといいなと思いながらお芝居をしていました。私自身、台湾に初めて訪れたので、アミと同じ気持ちで初めて見るもの、触れるものに新鮮に反応できたと思います。

■「おかえりモネ」の舞台・宮城県気仙沼の人々とのふれあいは印象に残っている

――実際に台湾の人々やその土地の魅力に触れてみて、どんなことを感じましたか。

撮影の合間にスタッフの皆さんと夜市に行った時、台湾グルメを堪能したり、買い物をしたり。観光客の方がたくさん訪れる場所なので、日本語も通じるので、台湾の方とやりとりするたび、皆さんやさしい方ばかりだなと感じました。

――台湾グルメ、何が美味しかったですか。

私は、台湾がゆにハマりました! 台湾って、朝食は外で食べる文化があり、朝食のお店がたくさんあるんです。ネギやザーサイなどたくさんのトッピングが出てきて、すごく美味しかったです。台湾ならではの朝食も堪能できましたし、撮影以外でも台湾をすっかり満喫できました。

撮影が終わってからはもちろん、休日も食事に行ったり、街をふらっとお散歩したり、写真を撮ったり。もうこんなに楽しんでいいんですか? というくらいに旅気分を味わえたと思います(笑)。

――清原さんは、アミのように1人旅をしたことはありますか?

海外での1人旅は……、絶対に無理です! 生きていけないと思います(笑)。バックパッカーで旅をする度胸はないです。でも、旅はいろんな人と出会えるのでいいですよね。撮影では、純粋な旅ではないですけど、これまでいろんなロケ地を訪れました。

その土地の人々の印象的なふれあいで記憶に残っているのは、連続テレビ小説「おかえりモネ」で私が演じたヒロインの故郷でもある宮城県気仙沼。皆さんものすごくあたたかく迎え入れてくださって。「応援してるよ」「朝ドラ、観てるよ」って、たくさん声をかけて下さって、街全体で応援して下さっていました。こんな幸せなことはないなと思いました。

今回は、台湾と日本での国際プロジェクトということで、台湾にキャンペーンで訪れた時も台湾でこの作品をこんなにも愛してもらえているんだということが伝わってきて、うれしい気持ちでいっぱいになりました。この作品をきっかけに日本から台湾へ行きたいと思う人が増えたらいいですね。

――台湾の魅力が詰まった今作ですが、アミに想いを寄せる高校生時代のジミーが恋に不器用でかわいらしく、ほっこりしました。ジミーを演じる台湾出身のシュー・グァンハンさんとはどんなやりとりをされて、どんな方だと思いましたか。

グァンハンさんとは撮影の合間、お互いの言葉の教え合いをしました。私が趣味でカメラを現場に持って行っていて、いろいろ撮っていたんです。空とか、風景、ご飯とか。グァンハンさんにカメラを向けたら、お茶目にピースしてくれました。

やさしくて紳士的で常に穏やかなんですけど、ユーモアもある方なんです。はしゃぐ時は、はしゃぐし、監督とは兄弟みたいな距離感でコミュニケーションをとっている印象でした。

■モットーは“食べたいものは食べたい時に食べる”

――今作の“あの時、思いを伝えていたら、未来は変わっていただろうか――”というキャッチコピーは切なく胸に染みます。誰の人生にもそんな瞬間はあるような気がします。

皆さん、ありますよね、きっと…。“これを言ったら変わったかもしれない”もあれば、“これを言わなかったから良かった”、いろんな瞬間があると思います。人は、みんな言葉や感情に溢れた世界で生きているので、このキャッチコピーはとても普遍的であり、永遠のテーマみたいなものだと思いました。一生、そんなことで悩み続けることもあるのかもしれない。ジミーのように、過去に柔らかな後悔を抱きながらも生きていくのが人間なのかもしれません。

――清原さんは、“後悔しない生き方をしたい”など、何かモットーはありますか?

最近、そんなことをよく考えるんです。モットーは、“食べたいものは食べたい時に食べる”かな(笑)。食べたいと思ったら、何時でももう食べていいやって。最近は、自分にやさしくするのも大事だなと思いました。

――清原さんは何事にもストイックなイメージがあるので、なお自分自身を甘やかしていいと思います(笑)。

作品中だとこれは食べない方がいいとか、深夜は食べないとか、もちろん節制していますけど、作品中じゃない時は、自分を緩めてあげるのも大事かな、と。あんまり凝り固まりすぎずに、ゆとりを持った生き方ができれば、普段から柔らかくいられるのかなって。

――すてきですね。劇中である人が放つ、「みんな夢を持つけど、その夢を叶えられる人はほとんどいない」という台詞が印象的でした。夢を持つアミという女の子を演じて、夢を叶えるヒケツはどんな所にあると思いましたか。

考え方は、人それぞれだと思いますけど。努力し続けることと、あきらめないことが大事だと思います。私自身は、人との出会いや環境に恵まれてきた人生を送ってきて、その中でたくさんの方に助けてもらっていますが、姿勢を正して、誠意を持って、自分が納得できるまで物事に取り組むようにしています。

――努力家なんですね。

出会いは自分で操作できるものではないので、難しいですけどね。きっと誰かが自分の頑張りを見てくれたり、認めてくれたりするかもしれないと信じて。今できることを頑張ることで夢は叶うと思います。

◆取材・文/福田恵子
撮影/山田大輔
メイク/牧野裕大(vierge)
スタイリスト/井阪 恵(dynamic)