生見愛瑠が主演を務める火曜ドラマ「くるり〜誰が私と恋をした?〜」(毎週火曜夜10:00-10:57、TBS系)が、6月18日(火)に最終回を迎える。ラブコメミステリーと銘打つ本作は “火ドラ”らしい胸キュンシーンのみならず、まこと(生見)が指輪を渡すはずだった“恋の相手”の正体や、記憶喪失になった夜の全容がいまだ明かされていなかったりと、ミステリー要素を含んでいる点も話題になっている。このたび、WEBザテレビジョンでは、同作のプロデューサーを務める八木亜未氏にインタビューを実施。制作秘話やメインキャストの起用理由、また胸キュンシーンの撮影秘話などについてたっぷりと語ってもらった。

■記憶喪失になったヒロインが “恋の相手”と“本当の自分”を探す

同ドラマは“恋の相手”と“本当の自分”を探す、指輪を巡るラブコメミステリー。記憶を失い“くるり”と世界が一変したヒロイン・まことが、不安と同時に自分らしさから解放され、“私歴一年”の赤ちゃんとして、本当の自分らしさを探していく物語だ。

また、恋の四角関係を繰り広げる男性キャストとして瀬戸康史、神尾楓珠、宮世琉弥が出演。年齢もタイプも異なる3人だが、唯一の共通点は、記憶を失ったまことの自分探しの手掛かりとなる指輪がピッタリとはまること。物語が進むにつれて、3人との関係性だけでなく、まこと自身も変化している。

■意識したのは「“火ドラ”らしく見ていて元気になれる主人公」

――オリジナル作品である今作はどのようにして誕生したのでしょうか?

どういう“火ドラ”が見たいかなと考えた時に、相手が一人に決まっているよりも、いろんなタイプの男性が現れて、恋模様が展開されていくドラマを見たいなと思ったんです。

そんな中で、主人公がどんな設定だったら視聴者の方が誰を選ぶのかを楽しんでみてもらえるかなと考えるうちに、記憶喪失という設定にたどり着きました。このドラマは、“いきなり3人のイケメンが近づいてきたらどうなるのかな”という妄想から始まったんです。

――主人公のまことをどのように描いていきたいと考えていましたか?

まことの描き方として最初からブレずに決めていたことがあって。記憶喪失という題材は重く描くこともできるのですが、“火ドラ”らしく、見ていて元気になれる、前向きになれる主人公であるべきだと思っていたので、くよくよせずに、自分なりに歩き出していくさまを大切にしようと決めて、ここまで描いてきました。

第9話で“くるり”として、まことも終盤戦では悩みモードに入ってしまいますが、そこから主人公が見つけ出す答えや、進んでいく姿はまことらしくなるように意識して作っています。


■恋の相手役となる男性陣は「新鮮な方々に出ていただきたいと思っていた」

――そんなまことを演じる生見さんの起用理由を教えてください。

生見さんの演技力は、他作品で見ていて、バラエティーの時に見せる生見さんと、女優として芝居をしている時の生見さんの振り幅みたいなものに魅力を感じていました。

記憶喪失でも明るくいてくれる、何より3人の男性に言い寄られても嫌味なく見られるという点でピッタリだなと思い、オファーさせていただきました。

――魅力的な男性陣を演じる瀬戸さん、神尾さん、宮世さんのキャスティング理由は?

3人とも違うテイストの方にしたいというのは大前提で、とくに3人のバランスは大事にしたいなと。それに加えて新鮮な組み合わせになる方々に出ていただきたいと思っていました。

公太郎は大人の色気とかわいらしさを併せ持つ瀬戸さんに、影のある役が多い印象の神尾さんには、ひたすらいい人を演じていただきたかったんです。そして、勢いのある宮世さんが演じる律は、物語の終盤で大きな役割を担っているので、訴求力のある方にお願いしたいと思い、キャスティングさせていただきました。

――キャストの方の意見が反映されたシーンはありますか?

たくさんあります。主にキュンの部分が多いです。演じている人たちがキュンとしないと、見ている人もキュンとできないと思っているので、現場で実際にやってみてもらって、意見を聞きながら作っています。

ハンドクリームを塗るシーンでは、塗り終わった後にポンとしたりとか、そういったちょっとした部分は完全に瀬戸さん発信です。一歩間違えると気持ち悪く見えちゃうものがキュンに変わる、絶妙なあんばいを探ってくれています。

9話の“花びらキス”も台本に書くのは簡単なのですが、「実際どうやる?」という話をたくさんしました。実際に動いてやってみる中で、「パクッとしにいった瞬間にまことがスッと(花びらを)吸い込む!?」みたいな案も出たりして(笑)。

瀬戸さんも、最初はあそこまで花を食べることを想定していなかったと思うんです。花びらってうまくちぎれないので、かみ切ることができなくて。結果的に大きく瀬戸さんが引き取る形になり、だから食べたんだと思うのですが、あれは監督の指示ではなく、瀬戸さんのアドリブです。


■“火ドラ”にミステリー要素を入れるのは「チャレンジでした」

――TBSの火曜ドラマといえば“胸キュン”という印象がありますが、今作がこれまでの作品と違うポイントや、意識していることはありますか?

第9話のラストシーンは「“火ドラ”で何やってるの!」って怒られるかなと思っていました(笑)。ラブコメ枠なのにやり過ぎたかなとか、作り手としていろいろな葛藤がありました。

“火ドラ”に期待されているラブコメ感というのはあると思うのですが、やっぱり何かしら新しいエッセンスは入れていきたいなといち視聴者としてもあったので、ミステリー要素を入れるというのはチャレンジでした。

ミステリー要素は予定より多くなっていますが、演者の皆さんも面白がってやってくださっているので、チーム一丸となって新しいものを作っていこうという意識はあります。

私はすごくエゴサをするタイプなので、オンエア中、登場人物が “くるり”する瞬間や、意味深に感じて欲しい表情というのはXを見ながら皆さんがどうリアクションしてくださっているかを追ってしまいます…。

――反響を見て取り入れたことはあるのでしょうか?

正直、朝日をどう見せるかが難しくて…。例えば、第5話でまことの実家について行くとか、皆さんの目にどう映っているのかを気にしていました。

意図せずのせりふが、違う方向に大々的に拾われてしまうこともあったので、そういう時は「こう見えてしまっているなら、こっちの話でちょっと修正してあげた方がいいな」とか、とても参考にさせていただいています。考察も楽しんでもらうドラマだからこそ微調整は大事にしました。

――終盤に向けて物語を作っていく中でこだわった部分や、悩んだことはありますか?

公太郎とキスをして律を思い出すとか、全部記憶が戻ったけど、ある思い出はないとか、最初から決めていたことをどう上手く構築して見せていくかというところに重きをおいて、台本を作りました。皆さんに「なるほど!」と言っていただけるような最終回になっていればなと思っています。


■「伝えたいのは『自分の好きにすればいい』ということ」

――Da-iCEが歌う主題歌「I wonder」もドラマを盛り上げている印象です。書き下ろし楽曲ということですが、何かリクエストはされましたか?

リクエストしたことは一つだけなんです。きっと「こうやってオーダーしました」と話せた方がカッコいいなと思いつつ、正直にお話すると「(ドラマの)内容のイメージに引っ張られないでください」とリクエストしました。そうして作ってくださった曲が結果とてもリンクしているという(笑)。

歌詞に登場する「ガラスのキャンバス」も、全く狙ったわけじゃないんです。そして私自身、恥ずかしながら言われるまで気付いていなくて…、指摘されて“すごっ!”となりましたね。

――最後に最終回の見どころと、読者へのメッセージをお願いします。

記憶をなくす前の恋と、今の恋、その2つの恋を何を基準にどう選ぶかというまことの選択と、自分の決めた道へ前向きに進んでいく姿を見守っていただけたらうれしいです。

記憶って、Da-iCEさんの歌詞にあるように「淡い、甘い、曖昧」なものだと思うんです。自分の覚えていたいものしか覚えていないんです。記憶喪失になっても、ならなくても、覚えているものは人によって違うし、その出来事をどう捉えているかは人それぞれなので、全11話を通して伝えたいのは「自分の好きにすればいい」ということ。

ラブコメなので、最後はハッピーエンドにしたいですが、まことの自分探しの旅に対する答えも描かれているので、誰かの背中を押してあげられるような結末にできたらと思っています。