以前ほど絶対的な存在ではない

23-24シーズンをマンチェスター・シティと勝点2差の2位で終えたアーセナル。またしても無冠ではあったものの、明確な競争力を見せたシーズンであり、シティの5連覇を阻む最右翼であることは間違いない。

そんなアーセナルは今夏も積極的な補強に打って出るとみられており、ライプツィヒFWベンヤミン・シェシュコやスポルディングCPのFWヴィクトル・ギェケレシュなどの噂が早い段階から挙がっている。シェシュコの早期獲得は失敗に終わったが、より強力なスカッドの構築に向けてミケル・アルテタ監督とエドゥ・ガスパールSDは精力的に動いているようだ。

一方で、これは余剰戦力が容赦なく放出されることも意味する。23-24シーズンにローンに出された選手ほかMFトーマス・パルティ、DFオレクサンドル・ジンチェンコ、FWリース・ネルソン、MFエミール・スミス・ロウあたりに放出の噂が立っている。そして英『football.london』によれば、ブラジル代表FWガブリエウ・マルティネッリも例外ではないという。

マルティネッリは22-23シーズンにおいて絶対的な主力であり、リーグ戦34試合に先発し15ゴール5アシストを記録している。23-24シーズンも主力であることには違いなかったが、リーグ戦先発24試合で6ゴール4アシストと数字が減少してしまった。同じポジションのレアンドロ・トロサールはシーズンが進むにつれてマルティネッリに代わって先発することが多くなり、12ゴール4アシストの記録を残した。

今のところマルティネッリを欲しているという噂はあまりなく、来季もメンバーに残ることは濃厚だ。しかし同メディアはアルテタが過去に何度も冷酷な決断を下し、選手起用を大胆に変えてきたことを指摘している。メスト・エジルやピエール・エメリク・オバメヤンはいうに及ばず、ウィリアム・サリバを2シーズンにわたってローン移籍でフランスに戻したこと、左サイドバックのキーラン・ティアニーを外したこと、さらに22-23シーズン躍進の立役者でもあったアーロン・ラムズデールに代わってダビド・ラジャを守護神に据えたことなど、ときにアルテタは無慈悲ともいえる大胆な決断を下してきた。

絶対的な存在とは言えなくなったマルティネッリも来季が正念場であり、数字を改善できなければアルテタの冷酷な決断の犠牲になるシナリオも否定できない。出場機会が目に見えて減少すれば、この快速アタッカーを欲するクラブも出てくることは容易に予想できる。果たして来季のマルティネッリにはどんな運命が待ち受けているだろうか。