文藝春秋を訴えたダウンタウン・松本人志に対し、吉本興業の〝影のドン〟とも言うべき大御所漫才師・中田カウスが〝一喝〟した問題がいまだに尾を引いている。

 松本は女性問題を報じた週刊文春を発行する文藝春秋を相手取り、5億5000万円の損害賠償などを求めた訴訟を起こした。第1回口頭弁論が先月28日に開かれたばかりで、もちろん現在も係争中だ。

 そうしたなか今月4日発売の写真週刊誌「フライデー」で、カウスが〝松本批判〟を展開。「松本はアウトやて。本当に客、素人に手を付けたのであれば」と一刀両断に斬って捨てた。かと思えば「僕の57年の吉本芸人生活の中で一番の大きな失敗は、大﨑を社長にしたことや」と、松本だけではなく〝ダウンタウン育ての親〟と言われる吉本興業前社長・大﨑洋氏も批判。一方で現在の岡本昭彦社長については「律儀な人間」と評価したうえで「期待しています」とも語った。

 多くの芸人からリスペクトされ、これまで吉本の屋台骨を支えてきた松本をカウスがここまで公然とこき下ろしたわけだが、この〝松本批判〟についてコメントする芸人はほとんどいない。「それはムリもない」と言うのは大阪の、準キー局の民放関係者だ。

「カウスさんは松本さんとは違った意味で、吉本芸人の〝最高実力者〟ですから。カウスさんはフライデーでも語っていたように、〝吉本鎖国〟を先導した人物。吉本の劇場に出演する芸人を決めることに関しても大きな力を持っているから、尊敬する松本さんを批判されても何も言えない。特に劇場に出ている芸人は、ヘタにカウスさんを批判したら今後、劇場の出番がなくなりかねない」

 とはいえ、カウスに賛同する意見を言うわけにはいかない。「そんなことをしたら、〝松本批判〟に同調することになりますからね。とりあえず黙っているしかない」(同)

 今のところ、カウスの〝松本批判〟に表立ってコメントしている吉本の芸人は三浦マイルドのみだ。カウスの「僕がその気やったら入れ食い状態ですよ」という発言に「女性蔑視じゃないの?」と批判した。

「マイルドさんは母親の介護が必要になっため、2月から出身地の広島に活動拠点を移した。そのため劇場の出番もそれほどないし、カウスさんを批判しても影響は少ないでしょう。とはいえ〝松本批判〟に異を唱えるというのは、今までの吉本なら当たり前。どちらかと言えば、マイルドさんの方が〝吉本の王道の意見〟ではあるんですけどね」(同)

 カウスの〝松本批判〟により吉本内は〝カオス〟になっているようだ。