“魂のピアニスト”の異名で人気を呼んだフジコ・ヘミングさんが先月21日に亡くなっていた。92歳だった。この訃報に各界から、死去を悼む声が寄せられている。

 漫画家の浦沢直樹氏は2日「X」(旧ツイッター)でアニメ「MONSTER」のエンディングテーマ曲の歌を依頼することになったエピソードを披露。「アニメ『MONSTER』制作中『テーマ曲、フジコ・ヘミングさんにお願いするなんてどう?』と音楽の蓜島邦明さん。『ピアノ曲いいですね!でも引き受けていただけるかな?』と私。蓜島さん『いや、歌で』『え?』見事な歌声で作品を彩っていただいたフジコ・ヘミングさん、ご冥福をお祈りいたします」と、その歌声をたたえつつ冥福を祈った。
 
 作家の志茂田景樹氏はXに「ピアノとマジで格闘していた。あるときは愛情豊かにハグし、あるときは天井を仰ぎ怒り嘆き、あるときは労るように慈愛の指を走らせた。幼時に耳を患い中度の難聴の僕は音感を養えなかったが、フジコ・ヘミングさんが全身で奏でる音は素直に耳に入ってきた。ご冥福を祈る」と投稿。ピアノとともに生きたヘミングさんを悼んだ。

 一時、耳が全く聞こえなくなるなど、さまざまな困難に遭いながらもピアノ演奏を続ける姿が反響を呼び、ファーストアルバム「奇蹟のカンパネラ」がクラシックでは異例の大ヒットとなった。