西武が今秋ドラフト目玉の青学大・西川史礁(みしょう)外野手(4年)に熱い視線を送っている。

 宮崎・南郷キャンプ終了後の2月末、スカウトが4人体制で青学の鹿児島遠征を視察。これを皮切りに3月6、7日の侍ジャパン―欧州代表戦(京セラ)、そして16日の東都大学春季リーグ戦・亜大戦(神宮)と西武は意中の1位候補の状況を他球団と同様にくまなくチェックしている。

 渡辺久信GMも「いい選手。頭一つ抜けており、当然(1位候補に)なるでしょう」と西川を高く評価。しかしながら、その胸の内では今年も固定できない外野手事情に頭を悩ませている現状がある。

 18日まで開幕から16試合を終え、6勝10敗と最下位に低迷する西武。深刻な貧打の影響からロッテ、ソフトバンクの上位2球団に7連敗中で目も当てられないような惨状だ。ここまで外野手は金子侑、若林、西川、コルデロ、山村、長谷川、岸と7人をスタメン起用しているが、明確にレギュラーをアピールしている選手はいない。

 加えて今季1番に起用された野手のトータル打率は9分4厘と1割未満、出塁率も1割9分4厘と低調でチームの得点力不足の大きな要因ともなっている。

 そこで否が応にも追い掛けざるを得ないのが、大学ジャパンの4番で3月のフル代表でも攻守で存在感を見せつけた即戦力外野手の西川だ。長打力、勝負強さもあり将来の主軸候補として西川をマークする西武にとっては「これで既存の外野陣の尻に火がついてくれれば」(球団関係者)との思惑もある。

 ここ4年間、西武は野手ドラフトと投手ドラフトを交互に繰り返してきた。だが仮にこのまま1位指名を西川で押し進めるとすれば、西武の今秋ドラフトは十中八九「野手ドラフト」となる。上位候補を含め複数の外野手が今秋のドラフトで指名されることによって、その分だけ戦力外や現役ドラフト候補として〝弾かれる野手〟も続出するだろう。

 西川獲得に心血を注ぐ球団の動きが、野手陣にどのような影響を与えるのか。今の西武としてはプラスに転じることを祈るしかないようだ。