西武・今井達也投手(25)が19日の楽天戦(ベルーナ)で7回103球を投げ、5安打1失点9奪三振で5―4の勝利に貢献。チームの連敗を7で止め、楽天戦は2021年10月から11連勝と〝キラーぶり〟を発揮した。

 相手打者、状況を見ながら冷静にギアを切り替える大人の投球術で今季2勝目を挙げた。

 試合後、今井は「連敗を止めるという意味でも、カード頭という意味でもチームとしてしっかり勝ち切っておきたい試合だった。先制点を取っていただいて、落ち着いて投げられました」とコメント。2号ソロで5試合ぶりの先制点を挙げた岸ら打線の援護にまず感謝した。

 自身の投球については「テンポよく真っすぐも変化球もバランスよく投げられた。リードしてくれた古賀にも感謝したい」と述べ、いつものように女房役にも再敬礼だった。

 さらに今井は「もちろん毎回、スコアラーの方もミーティングで言ってくださる。相手打者の調子だったり、傾向だったりと自分の調子を比較しながら毎イニング、毎打者、古賀と話し合いながらしっかり投げれている」とも振り返った。裏方への感謝も忘れず、信頼する古賀との密な連携が勝利につながったことにつなげた。

 3回先頭・小郷の打ち上げた飛球に、急造右翼手の山村がつまずき三塁打とした。続く4回にも浅村の右翼ファウルゾーンへの飛球に再び山村が人工芝に足を取られ、拙守を連発。だが、いずれの場面も後続の打者を三振に斬って落とし、山村のミスを帳消しにした。

 今井は「もう、あそこは僕がカバーするところだと思っていたので」とギアを上げて後続の村林、浅村を空振り三振に仕留めた。

 落ち着いたマウンドさばき、ナインへの気遣い。そして試合後には冷静に投球を振り返りながら、周囲の人間への感謝を忘れない振る舞い――。そこには初回から四球を連発する独り相撲の投球で試合の主導権を失っていた数年前までの今井は、もういない。

 理想のフォーム、ピッチングを探し求めてダルビッシュ(パドレス)や涌井(中日)にトレーニング指導を乞い、スポーツトレーナーの鴻江寿治氏との出会いで、求めていたものにたどり着いた。

 その心の安定が今の今井のピッチングを支えている。「優勝する1年にしたいです。ここからまた連勝を伸ばしていきたい」とファンに語りかけた今井。細部にわたって堂々たるエースの仕事を完遂した。