空手女子形で東京五輪銀メダルの清水希容(ミキハウス)が競技人生に別れを告げる決断を下した。

 関大卒業後から活動する現所属先を通じ、13日に「このたび、5月19日(日)の一般社団法人全日本実業団空手道連盟第4回西日本地区大会で競技者としての最後の演武を披露させていただき、この機会を持って競技を退くことにいたしました」と報告。その上で「たくさんの方々の心へ何か届けられるような形を打ちたいという思いで競技を続けてまいりました。私自身五輪の舞台に立てる日がくるとは思ってもいませんでしたが、空手が採用された東京五輪に出場させていただくことができ、夢のような時間でした」と神妙に振り返った。

 銀メダルを獲得した東京五輪はコロナ禍で1年の延期を余儀なくされるも「基本の中でもただ基本をやるだけではなくて、自分の形に生かせる基本のやり方をしながら自分のクセをしっかりと取り除いています。形だけでは直せない部分もやっぱりあるので、基礎の部分をしっかり直すことを意識しています」。棒を使ったユニークな練習で技の理解を深めるだけでなく、男子形で東京五輪金メダルの喜友名諒と沖縄で約4か月間武者修行を行うなど、貪欲に己を磨き続けた。

 東京五輪の決勝では金メダルに輝いたサンドラ・サンチェス(スペイン)と握手後、清水がコーチの前で正座する姿が話題となった。一夜明け会見では「武道というものは礼に始まり、礼に終わるというのを子供のころからずっと教わってきている。礼儀作法ってものは、本当に大事にしているものなので、自分自身も人として見本になれるような選手になりたいと思ってずっと大きな舞台を目指してやってきたので、これからも自分自身も向上していけるように精進していきたい」と思いを語っていた。

 19日の試合には出場しないが、その後に演武を披露し、感謝の思いを届ける。