桜と幸せな時間を一生の思い出に−。近年、弘前公園の桜を背景に撮影するウエディングフォト(結婚写真)が人気だ。開催中の弘前さくらまつりには連日、多くのカップルや夫婦が写真を撮りに訪れている。火付け役となった青森県弘前市の「写真館ハセガワ」代表の長谷川正之さん(59)は「SNS(交流サイト)やインターネットで『桜の下で撮るのがきれい』だと広まり、桜の名所である弘前公園は今やウエディングフォトの聖地になっている」と話す。

 長谷川さんは15年ほど前から、園内で結婚式の前撮り写真などを撮影してきた。当時は屋外でのウエディングフォトは一般的ではなく、撮影希望は年間で10組ほどだったという。しかし、園内の桜と白無垢(むく)姿の花嫁を写した長谷川さんの写真が、2015年の「ワールドフォトグラフィックカップ」で日本代表に選ばれたことをきっかけに、桜の下での撮影が「爆発的に増えた」と長谷川さんは話す。現在は県外からもカメラマンや、撮影希望のカップルが訪れるようになった。

 写真館ハセガワでは、毎年11月ごろから問い合わせが増え始め、今年は4月から5月前半まで、県内外から予約が入っている。多い日は1日に3組の撮影をする日もあるという。

 23日、弘前市の石郷岡哲郎さん(27)、結乃さん(27)夫妻は和装姿でソメイヨシノの花吹雪の中や、見ごろを迎えたシダレザクラの下で写真に納まった。ここ数年、花見に来るたびに見かけた花嫁の姿に憧れた結乃さんの希望で、園内での撮影を決めたという。2人は「こんなにきれいな桜の中で写真を撮ってもらえて、一生の思い出になった。仲良くフレンドリーな家庭を築いていきたい」と笑顔で話した。