八甲田でクマによる人的被害が相次いでいる事態を受け、青森市は27日、国や県などと対策を協議する関係者会議を同市役所で開き、現場周辺でのクマ捕獲・駆除に向けたわな設置や、入山規制を行うことを申し合わせた。わな設置は週明けにも実施したい考え。入山規制に関しては28日に再び会議を開き、具体的なエリアなどについて検討するが、早ければ同日からスタートする見通し。

 会議には同市のほか、環境省や林野庁、県、警察、消防、猟友会関係者ら約30人が出席し、非公開で行われた。

 市環境政策課によると、クマの捕獲のために箱わなを配置する方針で、実際の数や場所については検討を進める。同課の菊池朋康課長は「捕獲したクマが人を襲ったクマかどうかは最終的に特定できないかもしれないが、少しでも安心できる状況をつくりたい」と説明した。

 入山規制は、現場の国有林野など、個別の所有・管理者がそれぞれ立ち入り禁止にする形で対応する。期間については、期限を決められるような状況にはないとして「当面の間」とするという。国道103号の通行を規制する予定はない。

 また、現場周辺は国立公園の特別保護地区であり、植物の採取が法令違反に当たるとし、タケノコ採りについてもその点を前面に押し出して周知するべき−という意見も出た。

 菊池課長は「(クマに襲われ、女性が死亡したのは)一昨日の事案であり、その地域には今も人が立ち入っているような状況。なるべくスピード感を持って対策を取り、不安を払しょくしたい」と話した。

 八甲田の山中ではここ数日、タケノコ採りの人たちがクマに食料を奪われたり、襲われて死傷したりする被害が起きている。