ナイスネイチャ(94年高松宮杯1着)

 現役時代には有馬記念で3度の3着など〝ブロンズコレクター〟としてファンに愛されたナイスネイチャ(牡)が30日、この世を旅立ったことが分かった。NPO法人引退馬協会のホームページで発表された。35歳の大往生だった。

 同HPによると、体調を崩していた同馬は30日朝から心拍数が上がり腸の動きも鈍化。12時40分に相棒のメテオシャワーに見守られ、この世を旅立ったという。

 1990年12月に栗東・松永善晴厩舎からデビュー。奇跡の復活で93年有馬記念を制した名馬トウカイテイオーが同世代とあって、まさに生きる伝説だった。3歳時から一線級で活躍してGⅡ高松宮杯など重賞4勝を挙げたがGⅠは勝ち切れず、重賞で3着7回(GⅠでは4回)という〝ブロンズコレクター〟だった。

 北海道浦河町の渡辺牧場で余生を送っていたナイスネイチャ(現在はセン馬)。昨年の取材で引退馬協会事務局の加藤めぐみ氏は牧場での様子について、「控えめで、自分の(格付け)順位を下げている感じ。3頭で放牧していた数年前は3番目でした。やっぱり『3』という順位が合いますね」と語っていた。

 これだけのファンに愛された理由について加藤氏は「彼には強いだけじゃない魅力がある。うまくいかない時期があったから、皆さんは自分の人生と重ね合わせて応援しているんだと思います。強すぎると憧れでしかない。でも、彼は特別な存在。本当に愛されている馬だなって思います」と振り返っていた。

 所有者の認定NPO法人引退馬協会代表理事 沼田恭子氏「本当に長い間、最後の最後まで頑張ってくれたナイスネイチャに、ありがとうの言葉しかありません。ナイスネイチャのおかげで、多くの引退馬たちが、新しい未来を作ることにつながりました。支えてくださったたくさんの皆さま、最後までお世話してくださった渡辺牧場の皆さま、ありがとうございました」

著者:東スポ競馬編集部