エコロブルームが府中のマイルで咲き誇る
エコロブルームが府中のマイルで咲き誇る

NHKマイルカップ2024

[GⅠNHKマイルカップ=2024年5月5日(日曜)3歳、東京競馬場・芝1600メートル]

 ジャンタルマンタルにアスコリピチェーノ。牡牝の最優秀2歳馬が初めて揃い踏みした今年のNHKマイルC(5月5日=東京芝1600メートル)はそれだけで超豪華マッチに昇格した。ただ、「見応え」と「馬券」は別腹。第3の馬になり下がってしまった〝アノ馬〟が逆襲の「開花」を狙っている。

 ニュージーランドT勝ち馬がNHKマイルCを制覇したのは2012年カレンブラックヒルが最後。ただでさえ存在感がなくなりつつあるトライアルの勝者が今年はさらに〝薄まってしまう〟。何せ、同じマイルのGⅠである朝日杯FSと阪神JFの勝ち馬、つまり牡牝の2歳チャンプがレース史上初めて揃って参戦するのだ。これではひいき目に見積もっても3番手という状況。

 ただ、エコロブルームのファンにとってこの序列はオイシ過ぎる。勝つ資格を持った馬が不当に軽んじられる。その先に待っているのは高い期待値だ。

 前走のNZTを改めて振り返ろう。直線一旦内に行き、進路がなくなったため、外に戻しての追い比べVに鞍上の横山武は「内を狙ったのは自分の判断ミス。そこから再加速して勝ったのは馬の力です。助けられました」と振り返った。〝いい〟か〝悪い〟かを正直に話すことで有名なジョッキーが「助けられた」と言った。馬の力で勝ったレースと断定していいだろう。

 しかも、このレース、前段階で不安材料もあった。「牧場から想像以上に体が立派になって戻ってきて、なんとか絞ってプラス8キロという状況でした」と加藤征調教師。急ピッチでの仕上げ、直線での進路ミス…それらを難なく乗り越えたトライアル勝者は称賛されるべきだ。

「今回は休み明けを使った後の中3週。1週前に坂路で追い切った(4ハロン52・8―12・4秒)けど、そこまで強い負荷は必要なく息をつくる程度。今回も体は同じか少し減るぐらいだろうけど、成長もしていますから」とトレーナー。たとえ体重が同じでも、急いでつくった472キロと、土台ができた上で目標に向かって順調に仕上げた472キロは違う。言外にそのニュアンスが漂う。

 舞台は東京に替わるが「未勝利を勝った時のラスト2ハロンは非常に優秀な上がりでしたからね。前走は稍重でしたけど、良馬場のほうがいいし、もっとはじけ方が違う」。11秒0→11秒1で4馬身突き抜けたパフォーマンスなら、2歳王者2頭を置き去りにすることも可能だ。

著者:東スポ競馬編集部