日本ダービー2024

[GⅠ日本ダービー=2024年5月26日(日曜)3歳、東京競馬場・芝2400メートル]

 今年、競馬の祭典を前に最も話を聞いてみたい男は? そう聞かれたら答えは一択。1番人気を背負うことになりそうな戸崎圭太以外にいないだろう。2014年から3年連続で全国リーディングに輝き、トップジョッキーの地位を確立。JRA・GⅠ12勝を誇るが、ダービーのタイトルにだけは手が届いていない(2着2回)。ジャスティンミラノとともに臨む10回目の挑戦を前に、今、何を思うのか。「相当なプレッシャーを感じているのでは?」と心配しているファンもいるかもしれないが、このインタビューを読めば安心できるはずだ。

ジャスティンミラノでいざダービーへ

インタビューに答える戸崎圭太
インタビューに答える戸崎圭太

 ――10回目という節目の挑戦になりますが、現状の心境について

 戸崎圭 こういう馬に巡りあえて、人気をするのは間違いないのでプレッシャーも感じるところなんですけど、それ以前にその期間をすごく楽しんでいるというか、味わって過ごせている感じはあります。

 ――ダービーは雰囲気が違うとよく伺いますが、当日はどういう雰囲気か

 戸崎圭 ピリピリした感じというか、普段はたわいもない話が飛び交っているところでもあまりそういう話もなく、静けさは感じます。ただ、果たして自分が「日本ダービーだから」と変わっちゃってるだけなのか、周りが変わっているのか、分からないところです。今年は自分が人気もして注目される中で、どういう雰囲気になるのか楽しみではあります。

 ――過去9回チャレンジして未勝利。勝てない理由は

 戸崎圭 単純にまだ足らない部分が多いんだろうなと思います。一つひとつのレースを振り返って、まだやれることがあったのかもしれないですし。ただ、それは日本ダービーに限らずですけどね。

 ――ダービーでは馬以上に人がスポットライトを浴び、人と人の絆がフィーチャーされる印象があります。戸崎騎手自身、人とのつながりとダービーについて何か感じるところは

 戸崎圭 それもダービーに限らずですかね。人との出会い、馬との出会いはすごく大切ですし、その中で築き上げるドラマやストーリーがあると思うので、それはあると思います。ただ、僕はダービーに限らずですね。

 ――大井競馬所属時代、南関東の東京ダービーはどのような心持ちで挑戦されていたか

 戸崎圭 もともとダービーというものに特別視や意識することはなくて。GⅠの一つ、地方で言えばJpnⅠの一つという思いの中でやっていた。ダービーの思いが強くなってきたのはここ最近ですかね。

一番悔しかったダノンキングリー

2019年のダービーではダノンキングリー(手前)でクビ差の2着
2019年のダービーではダノンキングリー(手前)でクビ差の2着

 ――ダービーへの思いが強くなったきっかけは

 戸崎圭 初めて2着になった(18年)エポカドーロの時は「勝ってみたいな」と強い気持ちになりましたね。

 ――一番悔しかったのは

 戸崎圭(19年の)ダノンキングリー(2着)ですかね。とてもうまくいった中で、前が残るという意識が薄かった。何かやりようがなかったかなと思いながらビデオを見返した記憶があります。

 ――現在、全国リーディング3位、関東では1位(5月19日現在)と絶好調

 戸崎圭 ジョッキーとして一つひとつのレースをいいレースにしたいという思いや、乗せていただいた馬の能力を最大限に引き出したいという気持ちからいろいろやっていて、その答えが結果に出ているのかなとは思います。ただ、満足はしていないですし、まだまだだなと思っていますけどね。余裕が出てきている部分はあるので、以前と捉え方は変わってきています。

 ――「余裕が出てきている」という話をされていますが、経験を積んできての〝慣れ〟が大きいのか

 戸崎圭 それもあると思いますけど、一番は大きなケガをしたことがひとつ大きいですかね。6か月休んで、復帰した当初はうまく乗れなくて。結果も出なくて、そういう思いがあったから今があるのかなと感じます。

 ――2016年に特別模範騎手賞をリーディングと同時に受賞。クリーンな競馬をするイメージが強いですが、普段から丁寧な競馬をしたいという思いで臨まれているか

 戸崎圭 はい、それはあります。模範騎手とリーディングを同じ年に取れたというのは僕の中で一番の誇りというか、自慢できるところだと思っていて、誇りに思える1年だったと思います。

〝主役気分〟という感じで…

皐月賞馬ジャスティンミラノで2冠制覇を狙う
皐月賞馬ジャスティンミラノで2冠制覇を狙う

 ――今回のダービーに向けて何か特訓や新しいことを取り入れてているか

 戸崎圭 まったくないですね(笑い)。まったくないのがいいのかなと思います。

 ――他のレースと同じような心境で臨もうと

 戸崎圭 そうできたらいいなと思っていますし、今もいつもと変わらない感じですね。ただ、取材も多かったり周りからの注目も感じるので〝主役気分〟という感じで過ごさせていただいています。

 ――「今年はちょっとオレ、チャンスあるんじゃない?」と思ったりは…

 戸崎圭 いや、それは思いますよね(笑い)。まあ、そういった面でも自分が当日どういう心境なのか、結果もそこで分かるわけですから、そこは見ものですね。

 ――ぜひ勝利されたら、また独占インタビューさせてください

 戸崎圭 ぜひとも。よろしくお願いします。

 ――おそらく1番人気で、最も支持を受けると思われます。最後にファンへ向けて一言

 戸崎圭 今年で10回目のダービーですけど、またこういう素晴らしい馬に巡り合えてチャンスは大きいと思っています。期待に応えられるように精一杯騎乗して頑張りたいと思います。応援お願いします。

著者:大坂 寅生