北綱島小学校では3年〜6年生の4年間を通して、防災を全体テーマとして総合学習を行っている。6年生が扱うテーマは「防災リーダー」。クラスごとに地域の防災や繋がりづくりについて学び、社会で活躍できる防災リーダーを目指して下級生や地域に学びを伝えている。6年2組の子どもたちは3月7日、災害時の避難を想定した視覚障害体験会を実施した。

体験会は、踏切や階段など子どもたち自ら考え設営したコースを、手作りの弱視眼鏡をかけてサポートを受けながら歩くもの。「視覚障害を知ってほしい。災害時に自分たちに何ができるか伝えたい」という思いで企画された。参加者は児童、教諭など100人以上。20分間の休み時間を利用し、体育館で行われた。6年2組の子どもたちは「階段4段ありますよ」「3時の方向に歩いてください」などと具体的に声をかけ、参加者を誘導した。体験した2年生の女子児童は「周りが見えなくてドキドキした。手を引いてもらって安心した」と話していた。

楽しそうに興味を示す参加者の姿に、喜びを見せた6年2組。担任の濱田俊之教諭は、網膜色素変性症を患う視覚障害の当事者だ。身近な当事者とともに、子どもたちは1年間防災や視覚障害について学んできた。学習を振り返り、「当事者の生活の大変さや、どのように話しかければいいのかが分かった」と話した三友啓輔さん。奥山陽斗さんは「困っている人がいたらすぐに助けてあげられる防災リーダーになりたい」と語った。

理解に支えられて

「(現在の見え方は)視界が暗く、明暗のコントラストのような感じ」で、白杖を使い生活している濱田教諭。「子どもの安全を守る教育現場で、視覚障害がある自分が学級を受け持つ意味は重い」と話す。サポートとして副担任が付き、同僚や子どもたちの理解と支えに助けられているそう。特に方向の伝え方や、名乗ってから話すなど「経験や学習を経て、より伝わりやすい声かけやサポートを自然にするようになった」と、子どもたちの成長に喜びを見せる。特別支援学校と隣接し、福祉教育に注力している同校で「子どもの可能性を広げるため、できることを果たしたい」と話していた。