公益財団法人横浜企業経営支援財団(IDEC横浜、菅井忠彦理事長)は、横浜経済の活性化と地域社会の健全な発展に寄与することがモットー。市内の中小企業者や個人事業者に人材不足への対応や生産性向上に関することなど、労働環境の改善策を提案する。

「働き方改革」により、人々のライフワークバランスの推進が求められる昨今。IDEC横浜には小売業、サービス業、運送業などの企業から、業務効率化に関する相談が寄せられている。

デジタル化をサポート

IDEC横浜はさまざまなモノやサービスをデジタル化し、業務効率化を目指すという時流に沿う。2022年度、横浜市の「小規模事業者等省エネ・デジタル化支援補助金」の事務を受託。補助金を活用し、店舗の会計情報を即時に記録・管理できる「POSレジ」を導入した洋菓子製造販売会社では、毎日30分間かかっていたレジ締め作業が15分間に短縮されたという。

また、中小製造業向けの「DX・デジタル化推進フェア」を今年3月13日に初めて開催。製造業者に業務効率化を促進するデジタルツールなどを販売するIT事業者を迎え入れ、参加企業とつなぐ場を提供した。菅井理事長は「IDEC横浜には企業と企業をつなぐ役割もある。各社が業務効率化に向けて取り組んでいることを共有する機会にもなれば」と話し、同フェアの開催に手応えを感じている。

認証制度で機運醸成

横浜で地域貢献に取り組んでいる企業を認定する制度「横浜型地域貢献企業」を運営。認定基準には、地元での雇用や業務管理における継続的なマネジメントができているかなど、会社経営に関することも含まれる。

認定を受けたある建設会社はリモートワークの推進のほか、育児や介護で退職した従業員が復職を希望した際に再雇用する「ジョブリターン制度」などを導入。さらに、女性従業員からの強い要望もあり、子どもの学校行事などに参加する際に業務を中断できる「中抜け制度」を取り入れ、労働環境を整備した。こうした取り組みを導入する前と比べて、女性管理職の比率が約11%増加、月間の平均残業時間が約7時間減少するなどの成果が出たという。

女性の起業支援も

市によると、市内の起業家の男女比率(22年度)は男性が79・3%、女性が20・7%。IDEC横浜は起業を目指す女性を支援しようと、女性起業家から経営のノウハウを聞く勉強会のほか、参加者同士で経営と家庭を両立するなどの悩みを共有する交流会を開くなどしてサポートする。菅井理事長は「性別に関係なく、会社経営ができるようにお手伝いしたい」と話す。