市場西中町自治会が長年にわたり取り組んできた防災のまちづくりに関する取組みが、4月に国の内閣官房が発表した2024年度の「国土強靭化民間の取組事例集」に掲載された。同自治会まちづくり協議会の熊谷起一事務局長は「取組みが評価され大変ありがたい。今後も災害に強く、安心して住み続けられるまちを目指していきたい」と語った。

同事例集は、災害に強い国土強靭化の推進を目指し、内閣官房が2015年から公表しているもの。全国の企業や団体などの先導的な取組みを取り上げるもので、これまでに756事例、今回は53事例が紹介されている。

市場西中町は1958年の狩野川台風で多くの家屋が床上浸水を経験。また、古い住宅が密集し、2003年に横浜市から住宅密集地区に指定されたこともあり、防災対策への意識が高い。

そこで、同自治会では住民有志で「防災まちづくり協議会」を立ち上げ、防災計画を策定。粘り強く地権者や関係機関に働きかけることで、片側しかなかった歩道を両側につくって道幅を広げたり、防火水槽や簡易トイレを備えた防災公園を整備。また、「避難時に迷わないように」と、地区内の道路に住民から公募した名前を付けるなど、ハード面で様々な取組みを行ってきた。

そして、「揃ったハードを生かすには訓練が大切」と、毎年スタンドパイプやAEDなどの使い方を練習する防災訓練を実施。また、防災避難路マップを作成して全戸配布を行ったほか、「かわら版」や「まちづくり協議会ニュース」を年複数回、10年以上にわたって発行。防災マニュアルの策定なども行っている。

同まちづくり協議会の熊谷事務局長=中面「人物風土記」で紹介=は「住民の皆さんや行政の協力があってこそ、計画を進めてこられた。今後も他の地域の事例も参考に、防災はもちろん、いつまでも安心して住み続けられるまちを目指していきたい」と語った。

同協議会の取組みが紹介された国土強靭化の事例集は左記2次元コードから確認を。