伊勢原女性農業者連絡協議会(加藤京子会長・会員27人)が柏木菊江前会長を編集長として「伝えたい伊勢原の食と行事」の冊子を発刊した。市内農家に伝わる四季折々の食文化と年中行事、地元農産物を用いたレシピなどが紹介されている。

同冊子は、時代とともに変わっていく暮らしの中で、先人から引き継いだ懐かしい行事や地域に伝わるさまざまな料理を後世に残そうとまとめられたもの。伊勢原女性農業者連絡協議会メンバーらが2年の歳月をかけて編集した。発行には国の「女性の就農環境改善支援事業費補助金」が活用された。

冊子には市内の春夏秋冬の行事が月ごとにまとめられ、それぞれの時節に古くから食されている料理の材料や作り方などが分かりやすくまとめられている。2カ月に1回ほどのペースで会議が行われ、それぞれの家庭で作られる料理のレシピや写真を持ち寄って作業を行ったという。

発刊にあたり県農業技術センター普及指導部の職員が編集や校正に協力、A4判72ページでまとめられた。表紙絵は高山徹夫さんが大山をバックに農作業を行う風景と野菜や果物が描かれ、挿し絵は大森ノリ子さんが手がけた。

完成した冊子を見て、メンバーから歓声が上がり、柏木編集長は「普段行う行事や料理なのであまり苦労はなかった。最初はどうなるかと思ったがなんとか完成した。大変だったのは技術センターの方たちでは」と笑顔を見せた。編集作業の中で、梅干しやラッキョウなどは家庭により作り方や味付けが異なること、一般的には1月に行われる恵比寿講が伊勢原では11月に実施され、その際のお供えにミカンが欠かせないことなど、会員らにとっても新たな発見などもあったという。

同冊子発刊にあたり協議会では中央公民館で「伊勢原の伝統行事と食を味わう会」を開催。「ふるさとの味を未来へつなぐ活動」として若手の農業従事者や一般参加者らと交流を図り、草だんごやけんちん汁、太巻きずし、バラの花すしを作成し、舌鼓を打った。

田中真紀子前副会長は「農村の食文化、生活文化を守りつないでいくとの思いを大切にしながら、一品でもお試しいただければ幸い」と話している。柏木編集長は「地域の特産物に工夫を凝らした先人の知恵を通して、豊かな食生活を実現する手助けになれば」と語った。

冊子は初版として100冊を発行。市内小中高大、公民館や図書館等に会員らが配布し、現在増刷を進めている。伊勢原市立図書館で貸し出しも行われている。

冊子に関する問い合わせは加藤花園(加藤京子さん)【電話】0463・93・2572へ。