能登半島地震では、長引く断水によるトイレ問題がクローズアップされた。本紙では、県内33市町村を対象に実施した災害用トイレの備えに関するアンケートを踏まえ、平塚市の対策についてまとめた。

内閣府が示している「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」によると、排泄回数は1人1日5回と仮定し、3日分の備蓄を目標にしている。市災害対策課では、首都直下地震が起きた際に市内の避難所を利用する市民を9750人と想定。簡易トイレなどの備蓄やマンホールトイレの整備を急ぐ。

市内に52カ所ある避難所では高齢者や身体障害者向けに、簡単に排泄物などを密封して臭いや微生物(細菌)を遮断できる「ラップ式簡易トイレ」を1台ずつ配備している。携帯用トイレは計13万7180枚を備蓄。防臭・抗菌効果に優れた高吸水シートを袋に圧着させたタイプで、今年度はさらに追加で備蓄を行う予定という。

「マンホールトイレ」は、市が管理する44カ所の避難所のうち9カ所で整備を終えた。同時に5人が使用できる数を整備し、うち1基はサイズにゆとりがあり車いす利用者も使用できるよう配慮したという。今後4年間で残りの35カ所にも整備を進める計画だ。

災害時には断水や停電、排水管の破裂などによって、水洗トイレが使用できなくなる恐れがある。在宅避難だけでなく、避難所を利用する際にもトイレへの備えが求められることから、家族の人数に応じた必要数を把握したうえで「自宅でも1週間分の用意をしてもらいたい」と同課は呼びかけている。