県内有数のカーネーションの産地である秦野市。市内のカーネーション農家では5月12日の「母の日」を前に、出荷作業がピークを迎えている。

昭和初期から始まった秦野市内のカーネーション栽培は、1960年代頃に葉タバコ栽培の代替作物として増加した。JAはだのによると、市内の生産農家数は現在8件で、年間出荷量は約70〜80万本。主に神奈川県や東京都の市場に出荷しているほか、イオン秦野店や「はだのじばさんず」でも販売されている。

JAはだの花き部会カーネーション部の副部長を務める今井勲さんは、羽根にある「今井園芸」の園主。60年前に父親が行っていた葉タバコ栽培から転換し、カーネーションの栽培を始めた。現在はカーネーションや金魚草、スターチス、カスミソウのほか、夏はひまわりなど一年中ビニールハウスで花を育てているという。

同園では、15種類のカーネーション・スプレーカーネーションが栽培されている。母の日は一般的に赤色がイメージされているが、今井さんが育てている花はピンクやグリーン、黄色など色とりどり。同じ系統の色もあるそうで、「ピンクだけでも3種類ありますよ」と話す。色々な種類を組み合わせて花束を作ると、「こんなカーネーションもあるんだ」と喜ばれるという。

自然とにらめっこ

同園ではビニールハウスで花を育てているが、「自然に左右されることもある」と今井さん。植物には光が必要だが、晴れの日や曇りが続くときは水の量を調節するなど、工夫して栽培しているという。「自然が相手なので、にらめっこしながら育てています」と語る。今井さんが手間暇かけて出荷したカーネーションは「花持ちがいい」と評判がよく、市外からも注文がある。「一番良い花だと思っているので、買っていただければ」と笑顔を浮かべる。

同園のカーネーションは、スーパー「ベルク」やイオン秦野店、「はだのじばさんず」で販売されている。