今年で設立100周年となる川崎沖縄県人会(金城宏淳会長)。毎年、沖縄の文化を発信するイベント・はいさいFESTAで販売している郷土料理ジューシーが、「知る人ぞ知る味」とファンを増やしている。ジューシー作りを担当する玉城美鈴さん(31)は、「食材などにこだわりはない。手作りで愛情がたっぷり入った家庭的な味」という。

ジューシーは、米と豚肉、ニンジン、ひじきなどの具材を豚のだし汁で炊いた「炊き込みご飯」。冠婚葬祭や季節の行事などには欠かせない郷土料理。

同県人会では、10年ほど前に川崎駅前で開かれる「はいさいFESTA」を盛り上げようと、販売を始めた。当時あった婦人部で料理上手が担当して考案。豚肉、油揚げ、昆布、椎茸、ニンジン、ゴボウなど具だくさんで、炊き込むのではなく、炒めた具材と炊いた米を混ぜ合わせるのが特徴。具材の味や食感がより感じやすいという。

数年前、高齢化により作り手が減少したが、「おばあたちの味を残したい」と玉城さんを中心に若い女性会員らでジューシー作りを受け継ぐことに。とはいっても具材の分量や味付けは全部目分量だったため、「味のダメ出し」を受けながらも試行錯誤を繰り返したという。玉城さんらは、誰もが調理できるようにとレシピ作りにも挑戦している。

今年のイベントでは、1日300食を販売する予定。川崎区中島にある会館の調理場で早朝から手作りしたものを届ける。「大変だけど儲けは二の次。県人会や沖縄の文化を知ってもらえるきっかけになればうれしい」と話した。

沖縄文化をテーマとしたイベント「はいさいフェスタ」は5月3日から6日まで、ラチッタデッラ(川崎区小川町)などで開催される。

人気のグルメ屋台は沖縄本島から離島まで新鮮素材や特産品、過去最多の約100店が出店。期間中は、ルフロン前広場(JR川崎駅東口駅前)で、日替わりでエイサー団体が出演。ラチッタデッラ内特設ステージでは、沖縄音楽が体験できる野外フリーライブが開かれる。

今年は5年振りに映画祭が復活。「ばんたが島」を6日、チネチッタで上映する。