昨年4月23日の大和市長選挙で初当選した古谷田力市長が、5月1日で就任から丸1年を迎えた。本紙では、古谷田市長にインタビューを行い、この1年間を振り返ってもらいながら、地域をまわり市民の声に耳を傾ける中で見えてきた大和市の課題、これから取り組む具体的な施策などについて聞いた。

「身近な市長」

――昨年5月の市長就任から1年が経ちました。これまでを振り返ってください。

「私が市長に就任してから今日まで、あっという間の1年でした。この間、子どもから高齢の方まで、すべての人が楽しく、笑顔あふれ、心と体に加えて、社会的にも幸せな状態、いわゆる『ウェルビーイング』が実感できる大和市を目指していくことを一貫してお伝えしてきました。

また、市民の皆さまにとって身近な市長として存在したいという思いから、私自身がさまざまな場所へ積極的に足を運び、市民の皆さまの声や意見を直接お伺いするなど、市民の皆さまと共に過ごすことのできた1年であったと思います」

健全な行財政運営と救急体制の充実強化

――この1年間で見えてきた大和市の課題、早期に着手すべきだと思った点はどこでしょうか。また、それらの課題に対し、どのように対処していきますか。

「現在の大和市は、自治体の財政状態を示す値は問題のない数値ですが、さまざまな社会経済状況などにより本来定期的に実施すべき国民健康保険税率の見直しなどが行われてこなかったことや、保健、福祉、子育てなどに係る費用、近年整備した公共施設に係る費用を確保する必要があることなどから、市が独自に使える財源が圧迫されつつある状況です。

そのため、令和7年度から始まる新たな総合計画のもと、真に必要な事業に重点的に予算を配分し、健全な行財政運営の実現に向けて取り組んでまいります。

また、ここ数年、大和市の救急出動件数は、過去最多を更新しており、令和5年の救急出動件数は1万4396件となりました。高齢化を背景とした救急需要の増加・多様化のほか、自然災害が激甚化する中、消防を取り巻く環境は著しく変化しております。このような中、私は市民の安心・安全を守ることを第一に考え、昨年度、大和市職員定数条例を一部改正し、消防職員を令和6年度から令和8年度の3カ年で31人増員するとともに、令和7年度から救急隊を増隊するなど、救急体制強化・充実を図ってまいります」

千載一遇

――2027年に旧上瀬谷通信施設(瀬谷区・旭区)で開催が予定される国際園芸博覧会(通称/花博)に向けて、大和市の取り組みなどがあれば教えてください。

「今年3月、花博開催3年前の節目として『フラワーフェス2024』が開催されました。私自身、神奈川大和阿波おどり振興協会の皆さんと共にお招きいただき、会場のにぎわいを肌で感じ、気運の高まりを強く感じました。

花博はもちろん、その後に予定されているテーマパークの誘致は、隣接する大和市にとっても、地域経済の活性化につながる大きなチャンスになると期待しています。

この千載一遇のチャンスを活かすため、市役所内に関連部署の課長をメンバーとする検討会議を立ち上げたところであり、これから本格的な議論を行っていきたいと考えています」

速やかに報告・公表

――前市長による公共工事のやり直しを巡って現在、第三者調査が行われています。また、市議会では調査特別委員会も立ち上がりました。この問題の解決に向けて、市議会とどう関わっていくか、お聞かせください。

「昨年11月から、弁護士2名と一級建築士1名による第三者調査が行われており、今年6月30日までに調査報告書が提出される予定となっています。調査の公正性を確保するために、私自身も調査の途中経過の報告を受けないこととしておりますので、現段階で、私から具体的なことを申し上げることはできませんが、調査報告書が提出された際には、速やかに市議会への報告及び公表を行ってまいります」

傾聴に徹し工夫と挑戦を

――古谷田市政2年目となる2024年度に、とくに力を入れて取り組む施策などはありますでしょうか。

「現在、『市民が幸せを実感すること』を目指した新しい総合計画の策定に向け準備を進めております。また、計画の策定にあたっては、市民目線に立った計画となるよう、多くの市民の皆さまの声を聴く機会の確保に努めてきました。

市長就任後、さまざまなところで述べてきたとおり、『市民の声を聴く』ことは、私の政治姿勢の基本的なスタンスです。

今後におきましても、より良い計画となるよう、市民と市長によるタウンミーティングを開催するなど、さまざまな方から直接ご意見を伺う機会をできる限り設けていきたいと考えています」

――インタビューの最後に本紙読者へメッセージをお願いします。

「市政運営の中心は市民の皆さまです。市民の声を市政に反映するため、既存の概念にとらわれることなく、工夫を重ねながらさまざまな施策にチャレンジし、将来、大和市を市民の皆さまのたくさんの『笑顔』と『いいね!』であふれる街にしていきたいと考えています。

そのためには、市民の声を聴くことが重要であり、今後も地域の集まりやイベントなど、みずから現地・現場に赴き、さまざまな方と出会い、直接ご意見を伺いながら、市民の皆さまが幸せを実感できる市政運営となるよう、まい進してまいります。

(了)