記録的な暴風雨を記録した2019年の台風19号は、酒匂海岸の砂を大量に海に流出させた。「酒匂海岸保護の会」の天野忠明さん(82)によると、砂の流出を防ぐためには、海浜植物の保護が欠かせない。

山王小学校から酒匂中学校までの区間の酒匂海岸には現在、ハマヒルガオやコウボウムギなどの海浜植物が群生し、地中に根を張り巡らす。2011年から活動を始めた同会が地道な除草活動などによって取り戻した植生だ。「元々雑草だらけだったが、それを取り除くと海岸の植物が生えてくる」。そして、群生すると土が固定されるという。「昔は海岸が広かった。しかし、ダムや堰の造成によって海岸に供給される砂が少なくなると、砂浜は台風などで削られる一方だ」。それでも海浜植物があることで、根が天然の消波ブロックとしての役割を果たし、砂の流出を一定の程度抑えるという。固有の種を守りつつ、砂浜の後退を防ぐために、天野さんは外来種が混じった残土や植木鉢の土を海岸に捨てないよう注意を呼び掛けている。

「理解を深めて」

砂の循環や海浜生物の生態について知ってもらおうと、同会ら環境保護活動をするボランティア団体は5月11日(土)、酒匂海岸(西酒匂1丁目)で「砂浜のお花畑ができる不思議〜植物観察&ビーチクリーン〜」を開催する。午前10時〜正午。

「少しでも興味を持ってもらえれば」と天野さん。海浜植物観察会の後、海岸の生態系に配慮したビーチクリーンも行う。参加希望者はプラごみゼロチームおだわら✉︎topuragomi0@gmail.comへ、氏名、連絡先を明記して申し込む。参加無料、小学生以下は保護者同伴。雨天延期の場合はフェイスブックのイベントページで発信する。