横浜市内で点検商法や定期購入など、高齢者による契約トラブル相談が増加している。市と市消費生活総合センターでは、契約トラブルから市民を守るため、人気漫画家と連携し4コマ漫画を制作するなど、幅広い年齢層に注意喚起を行っている。

同センターに2023年度(4月〜11月)に寄せられた消費生活相談は、1万83件(前年比+228件)。年代別で見ると、50歳代以下の各年齢層では相談件数が前年度を下回っているのに対し、60歳代以上の各年齢層では前年度を上回っており、高齢者の相談が増加している。年々減少していた相談件数が21年度から22年度に増加に転じたのも、同様に高齢者増によるものだ。また、22年度に「主な契約のきっかけ」となったSNS、定期購入、点検商法、電話勧誘はいずれも増加=表参照。同センターの魚本一司センター長は「点検商法や電話勧誘は在宅している高齢者がターゲットになりやすく、周囲の方の見守りも含め、注意が必要」と話す。

そこで同センターは、様々な契約トラブル事例をテンポよく読める4コマ漫画を活用した啓発を企画した。パンフレットとポスターを印刷し、市内の区役所・図書館・地区センター・地域ケアプラザ・大学・専修学校に、5月から6月にかけて配布する。また、同センターのSNS(X)でも配信する。

推進員、なり手不足も

各区では市から委嘱された消費生活推進員が「消費者トラブルに遭わない安全な地域づくり」を目指して、啓発活動や地域の見守り活動を行っているが、なり手不足等もあり、休止する区も相次いでいる。24年5月時点で、消費生活推進員制度を実施している区は、18区中11区。市経済局の担当者によると活動休止の弊害はないというが、市内で一律に実施できていない現状は課題と認識している。

高齢化の進展や成年年齢の引き下げ、デジタル社会の進展等に伴う消費者被害の複雑化・多様化が進む中、同局では、「今後も出前講座や講演会、SNS等を利用した啓発を実施し、消費者被害の未然防止に取り組んでいく」としている。