港北消防署によると、近年、救急隊による傷病者の搬送が増加している。横浜市では、2024年4月23日時点で7万8133件の救急搬送が発生している。昨年同日と比較すると6403件、およそ9%の増加だ。港北区では同期間中に6213件が発生しており、455件、およそ8%増加している。

区内の発生件数のうち、「急病」によるものが4419件と最多。次いで「一般負傷」が1137件で2割弱を占めている。一般負傷とは、転倒や転落、切る・刺さる、やけどなどのけがを指し、「急病や交通事故と比べて、日頃の対策で防止できる可能性が高い」という。全国的な救急車不足、救急隊員不足が課題になっていることもあり、神奈川県ではけがの予防意識向上に取り組んでいる。

同署では高齢・障害支援課などと連携し、特に高齢者の転倒・転落等の予防に乗り出している。地域ケアプラザや高齢者施設等で講話を行い、啓発冊子『救急搬送事例から見たケガの予防対策』を配布している。「今まであまり手が回っていなかった方面。状況改善のため、中長期的な啓発活動を続けていく」と同署担当者。配布予定の冊子には、それぞれのけがの原因について年代別に実例や特徴、予防対策などがまとめられている。市のホームページで閲覧が可能だ。

部屋の整理整頓や家具の配置、落ち着いた行動など、ちょっとした注意がけがの予防につながる。同署では、救急車の出動件数減少のためにも、安全な生活環境・習慣を呼びかけている。