平塚信用金庫と取り引きのある湘南・県央地域の中小企業のうち、2024年度中に賃上げを実施する企業の割合が54%に上ったことが、同信金の調査で分かった。

調査は3月上旬、同信金と取り引きのある製造、卸売、小売、サービス、建設、不動産の6業種319社を対象に実施。314社(98・4%)から回答を得た。

このうち、「2%以上」の賃上げと回答した企業は25%で、「2%未満」は29%だった。物価高や円安基調が続く中、人材定着に向けた待遇改善として賃上げに踏み切る企業が過半数を超えた。

若手不足・高齢化危惧

現在の人材状況について懸念している点は、「若手の不足」が44・9%でトップ。「高齢化の進行」が41・7%、「熟練者の不足」が17・8%、「営業の従業員不足」が11・1%だった。

対応策としては、「中途採用の強化」を挙げる企業が51・0%で、「新卒採用の強化」(22・9%)、「シニア雇用の促進」(11・8%)、「非正規社員の活用」(10・2%)と続いた。「女性活躍推進」は8・6%にとどまり、「検討していない」という回答も34・1%あった。

2024問題36%対応せず

調査では、物流や建設、医療業界で残業時間の上限が規制される「2024年問題」への影響と対策についても聞いた。「影響はない・分からない」が67・6%、「対応を取る必要はない」が53・0%で、対応した企業は10・9%、未対応の企業は36・2%だった。

業況4期ぶり悪化

同信金がまとめた1〜3月期の景気動向レポートによると、景況感を示す業況DIは前期(10〜12月)から0・3ポイント落ち込んで7・0となり、4期ぶりの悪化となった。

中でも製造業は前期から21・1ポイント落ち込んでマイナス4・8、卸売業も31・5ポイントと大幅に悪化してマイナス15・8だった。一方で、サービス業と建設業は2期連続で上向いたほか、不動産業も前期比16・9ポイントと大幅に改善して6・9となった。

今後は製造業と卸売業を除く4業種で悪化するとし、来期(4〜6月)の業況DIは1・9ポイント落ち込む見通しを示した。