女子プロボクシングのWBA(世界ボクシング協会)、WBO(世界ボクシング機構)世界アトム級統一チャンピオンの松田恵里選手(29・板戸出身)が5月15日、緑台小学校(佐藤幸也校長)体育館で児童や保護者を前に「夢追いかけて」をテーマに講演を行った。

松田選手は海老名市生まれで幼少時に伊勢原に移り、八雲幼稚園、竹園小学校、伊勢原中学校、海老名高校、桐蔭横浜大学卒業。現在TEAM10COUNTに所属。高校2年からアマチュアボクシングの試合に出場し、2018年2月に女子プロボクシング史上2人目となるB級テストに合格。同年8月に6回戦デビューを果たし、12月にはOPBF東洋太平洋女子アトム級王座決定戦で王座を獲得。プロデビュー2戦目での王座獲得は男女含めて日本プロボクシング史上最速記録となった。

19年には日本女子アトム級王者とのダブルタイトルマッチを制し、初防衛とともに日本王座も獲得。昨年10月には世界戦に専念するため東洋王座を返上。今年1月、「フェニックスバトル109」で黒木優子選手が持つWBA・WBO女子世界アトム級王座戦で判定勝ちを収め2団体王座獲得に成功、3度目の世界挑戦で悲願を達成した。現在は4団体統一王座獲得に向けて日々トレーニングを積み重ねている。

体育館で王座戦の模様が流れると児童たちは食い入るような眼差しで試合を見つめ、勝利の瞬間には大きな拍手が沸き起こった。「世界チャンピオンになることを目標としてきた」と話す松田選手。講演では、ボクシングとの出会い、初めての大けが、初めての敗戦などについて語った。小さい頃は「運動が大好きで休み時間になると外に出る子どもだった。人前で話すのは少し苦手かな」と苦笑い。

幼少期はテニスで全国大会出場、空手では日本一に輝き、中学で陸上、高校ではサッカーで関東大会に出場するなどさまざまな経験を積んだ。

松田選手は何事にも挑戦することの大切さを伝え「迷ったらやってみる。自分の道は自分で決めること。好きこそ無敵であり、困難にも立ち向かえる。ぜひ好きなものをみつけてもらいたい」と児童らに語り掛けた。

佐藤校長は「世界チャンピオンでも壁があったり、悩んだりする。誰でも最初からうまくいくことはないんだということが子どもたちに伝わったのでは」と述べた。