逗子市内に拠点を置くフリースクールがこのほど、「逗子フリースクール連絡協議会」を立ちあげた。学校になじめない子どもたちのセーフティーネットであるフリースクールの情報を社会に広めると同時に、行政に対してその必要性を訴える。5月16日には桐ケ谷覚市長のもとを訪れ、利用者保護者への支援などを求める要望書を提出した。

同協議会を設立したのは「フリースクールここだね」(桜山)と「cas!ca(カシカ)」(逗子)、「Terako―ya寺子屋」(逗子)の3団体。代表はここだねの深沢武さん(54)=人物風土記で紹介=、副代表をカシカの大場勇弥さん(27)が務める。

深沢さんはこれまでも市に対し、フリースクールのおかれている現状を投げかけ、処遇について相談をしたこともあったが、一団体としての要望を聞き入れてもらうのは難しいと感じていた。そうした中、共通の知人を介し、4月に大場さんと話をする機会があり、共通の課題もあることから会の発足につながった。

4月30日から5月10日にかけて、各スクールに通う27人の児童・生徒の保護者にアンケートを実施。フリースクール利用にあたっての費用や家計への負担の状況、市の不登校支援への意見などをまとめ、要望書を作成した。【1】保護者の経済的負担軽減のためにフリースクール利用の際の利用料支援【2】不登校の児童生徒の学習の場を確保するために、その支援機関たるフリースクールに対し人件費、家賃、光熱水道費などの補助【3】不登校の児童生徒が在宅で学ぶ際の教育費の支援の3点で市に求めた。

こうした要望に対し、市長は「フリースクールをはじめとした子どもの居場所づくりは重要な課題と捉えている。行政の関わり方についても検討していく」とコメント。

市によると市立小中学校における不登校率は全児童数の約4%(2022年度末)にのぼる。

仲間・大人と出会える場

深沢さんも自分の子どもが学校に行けなくなった経験を持つ。「どの家庭にも可能性がある。でもそうなった時に子どもの『学び』の保障、理解してくれる仲間や大人と出会える場所が必要」とフリースクールの意義を訴える。

しかし、経済的事情でフリースクールに通わせられない、利用回数を減らさざるを得ない家庭も多く存在するという。

隣の鎌倉市には「鎌倉市フリースクール等利用児童生徒支援補助金」制度があり、児童生徒1人につき、月に上限1万円で施設利用料の3分の1が補助される。

「子どもの学びを守るため、自分らしく生きるために、ぜひ逗子市にも応援してほしい。ともに『不登校』という言葉がいらなくなる社会を目指したい」と深沢さん。

同協議会への問い合わせや、加盟希望などについては【メール】zusi.freeschool@gmail.com、または【携帯電話】070・5550・8639(深沢さん)