社会医療法人財団石心会川崎幸病院(幸区大宮町)の看護師・佐藤久美子さんがこのほど、神奈川県看護賞を受賞した。独自の教育システムなどを構築し、近年は新卒離職率0%を達成。また、救急受け入れシステムを構築したことなども評価された。

同賞は長年にわたり県内で保健師、助産師、看護師として業務に励み顕著な業績をあげた人を県が表彰するもの。59回目を迎えた今回は、保健師2人、助産師1人、看護師7人が受賞した。幸区からは川崎幸病院の看護師・佐藤さんが受賞した。佐藤さんは「想定外のことで驚いたが、これまでの活動に注目してもらえたことはありがたい」と受賞を喜んだ。

佐藤さんは1994年から同院に勤務しており、現在は副院長と看護部長を兼任する。看護副部長だった2006年ごろからは新人教育に尽力。当時は新卒が集まらないことが課題で、北海道から沖縄まで募集を呼び掛けたという。その成果が実り応募者は増えたが、新卒者の卒業した学校が異なるため教育課程にもバラつきがあった。そこで佐藤さんは最初の1か月は病棟に配属せず、看護部で研修を行った。「周囲からは驚かれたけれど、段階を踏んで病棟に出ることが安心材料になったのでは」と振り返る。新卒離職率0%も達成し、当時の新卒者の中からは現在管理職を務める人もいる。

救命士と連携

救急医療の場でも手腕を見せた。同院では2008年ごろ救急の受け入れ拡大を目指し、救急救命士を職員として採用。その中で救命士と看護師が連携をとれるようマニュアルなどを作成した。救急搬送時の待機時間短縮に貢献したほか、救急受け入れシステムを構築させた。

長年看護師として働く中で、看護師の職は「自分に向いている」。患者が元気に回復する姿を目にしたり、感謝の言葉をもらうことは一番の励みだ。「当院は急性期の病院なので(他院に)『つなぐ』ことを大切に考えている。治療が終わった後も患者さんの人生は続く。その先を整えるのが看護師の仕事」と佐藤さんは話した。