藤沢市の新たな副市長に前総務部長の中山良平氏(60)と前都市整備部長の川崎隆之氏(60)が就任した。着任は4月1日付。4期目の鈴木市政を支える庁内における最重要ポストだ。市の重要課題に総合的に対応し、司令塔としての役割を担う重責への意気込みや今後の取り組みなど抱負を聞いた。(聞き手・佐藤弦也)

都市基盤整備、着実に

川崎隆之氏

――技術職として経歴を積んでこられました。就任の受け止めは。

「最後の4年間は都市整備部長として、藤沢駅や村岡新駅(仮称)周辺の整備事業など主に都市基盤整備に取り組んできました。一方、市全体では子育てや教育などさまざまな施策を進めていかなくてはいけません。大変重責を感じています」

――藤沢駅周辺再整備の進捗は。

「現在、駅の南北をつなぐ自由通路の拡幅工事が始まっており、駅舎の改修と合わせて28年3月の完成を目指しています。小田急線の改札が橋上化され、乗り換え口の整備も進めば利便性は大きく向上するでしょう」

「今後は南口の再整備にも順次着手していきます。藤沢駅は『湘南の玄関口』であり、周辺の再整備はまちの活性化と不可分。公共施設を整備しながら、老朽化した周辺の商業ビルの建て替えも誘導していきたい」

――6つの都市拠点のうち、健康と文化の森地区については。

「3月末に、市街化区域への編入と土地区画整理組合の組合認可がされたことから、地権者組織とともに、都市拠点形成に向けた取り組みを進めています。慶應大学が隣接し、研究開発機能のある場所でどんな企業を誘致していくかなどはこれからの課題です」

――相鉄いずみ野線延伸の見通しは。

「県と協議会を持ちながら議論を重ねています。我々としては区画整理を進めながら、しっかりと延伸を求めていきます。いずみ野線の延伸については市長も不退転の決意を示していますので、最重要課題ととらえています」

――思い出の仕事は。

「かつて商工会議所の前の道路は行き止まりだったんですが、都市計画道路として計画の立ち上げから開通まで携わったのは印象深かった」

――今後の抱負を。

「3つの都市拠点の整備を着実に進めることはもちろんですが、所管する各課の事業についてもしっかり取り組んでいく。中山副市長と連携を取りながら、市長の4期目を支えていきます」

将来見据え財政平準化

中山良平氏

――鈴木市政の4期目を支える重要な役職です。就任の感想は。

「市長が選挙で掲げた公約をはじめ、現在市にはまちづくりに関連する大きな事業が複数同時進行しています。少子超高齢化や公共施設の再整備が進む中で、そうしたものをどう仕上げることができるか。副市長2人で支えていく所存です」

――人口増で安定した税収の一方、社会保障関連費が財政を圧迫しています。財政面の課題は。

「今手掛けている事業を『お金がないからできない』というわけにはいきません。財政的に平準化をして、どう乗り越えていくかが課題です。各事業の精査や、先送りをすることも必要かもしれません。財政の硬直化が進んでいることは事実ですから、常に見直していくことが重要です」

――市政運営の総合指針2024が今年度で最終年度になります。新たな指針の方向性は。

「2028年度まで4年間の新たな指針を策定中です。来年度は組織改正も控えていますので、先を見越した執行体制の確立が求められる。人口の推移など最新の社会情勢を踏まえながら、市民の皆様や団体のご意見を丁寧に汲み取っていきます。都市マスタープランや行革など、見直し時期を迎える計画との整合性も図っていきます」

――市職員として思い出深い仕事は。

「私は総務や財政など内部的な仕事が多かったんですが、コロナ禍の2年間に経済部長を務めました。地元経済界の皆さんと逆境を乗り越えるために議論を重ねたり、知恵を絞ったのは印象に残る経験でした」

――今後力を入れて取り組みたいことは。

「やはり都市基盤事業を着実に進捗させ、市長の公約事業や整備事業を形にすることです。市民の利便性を高めることでもあります。そのためには財政状況をしっかり見極めて、基盤を敷いていくことが自分の務めです。『持続可能なまちづくり』に向け、若い職員にも積極的にアイデアを出してもらいながら、一丸となって4年間を乗り越えていきます」