ところが、散々私の情報をお伝えした後でも、「あなたが仮に私の部下だとして、5W1Hのうち、私が一番気にするポイントはどれだと思いますか?」と聞いても、誰もピンときません。

どれだけ自分のことを語っても、何を考え、何を重視して、どう判断するかはほとんど伝わらない。1時間という長時間の自己紹介は、「人というのは、これほどわかり合えないものなのだ」ということを理解してもらうための時間だったのです。

期待値を考える上では、相手がどんな人なのかを知ることが不可欠です。それなのに、どんなに相手の情報を得たとしても、どんな人かを完全に理解することはできない。

相手のことをわかったつもりになっていると、足元をすくわれる。これは、仕事をする上で絶対に忘れてはいけない前提です。そのことを私が痛感した出来事がありました。

認識を改めるきっかけになった「新料金プランの提案」

東日本大震災の復興支援の一環で、ソフトバンクが行った取り組みの1つに「チャリティホワイト」というオプションプランがあります。月額利用料にプラス10円の寄付をいただき、ソフトバンクも10円を加えた計20円を被災地の子どもに毎月寄付する、というものです。

もちろんソフトバンクでは、震災直後から、通信サービスや店舗などの復旧、募金窓口の設置、携帯電話の貸し出しなどへの対応を行っていました。しかし、必要な復興支援は、発災直後の短期的なものだけではありません。