ビジネスにおいて、言語化して説明するために必要な要素は「前提」「主張」「根拠」の3つしかありません。つまり部品は3つしかないのです。そしてその3つを次のような接続詞で関連づけます。

前提 →(では)→ 主張 →(なぜなら)→ 根拠

私は「必要な要素は3つしかない」と断言しました。かなり強い(大胆な)主張といえます。しかし端的であることを求められるビジネスコミュニケーションにおいては、この3つだけで必ず成立します。換言すれば、この3つ以外のものを用意しようとするのは無駄な行為です。

例として、今回の私の主張を言語化してみます。

前提として、「もう少し話を組み立てて説明してほしい」と感じている入社1年目の社員がたくさんいます。そこで今から、話を組み立てるとはどういうことかを言語化します。

では、私の結論を述べます。組み立てられた話とは、いくつかの(話の部品)が(接続詞)でつながった状態を指します。

なぜなら、組み立てるとはプラモデルのようにバラバラの部品を接続していくことだからです。

いかがでしょうか。極めてシンプルな例ですが、3つの要素と2つの接続詞さえあればコミュニケーションが成立することがおわかりいただけると思います。つまり話を組み立てるとは、この型に則って話すだけの行為なのです。

「説明に迷う」のは"型"の意識不足

私はこれまで企業研修の現場で、「言語化」のスキルで悩む人の声をたくさん聞いてきました。その代表的なものが次のような悩みです。

「言語化や説明力が重要なのはよくわかっています。でも言葉にしようとしたり、どう説明しようかを考えたりし始めると、頭がグルグルし始めてしまって、何をどうしたらいいかわからなくなってしまうんです……」

共感する方も多いのではないでしょうか。私はこのような方にこそ、3つの要素を意識してもらうようにしています。頭の中でグルグルと迷走してしまうのは、迷っているからです。なぜ迷ってしまうかというと、何が必要なのかがわかっていないからです。

改めて申し上げます。言語化に必要なのは「前提」「主張」「根拠」だけです。あとはそれらを2つの接続詞でつなげる。これだけで「組み立てられた話」は完成します。とてもシンプルですが、これが結論です。

入社1年目の新人にとって、先輩や上司からの説明や指示はとても重要な情報になります。その情報を頼りに、不安な環境の中でどうにかやってみようともがきます。先輩社員の皆様にはどうか愛を込めて、組み立てられた説明をしてあげてください。

著者:深沢 真太郎