「教育困難」を考える本連載。今回お話を伺った浜岡さん(仮名)は、関東にある偏差値40未満の教育困難校に勤める若手教員です。世間的には「学力が低い」「不良が多くて荒れている」「授業が成立しない」といったイメージのある学校は、若手教員から見てどう映っているのでしょうか。自身も15年前に「教育困難」校を卒業した濱井正吾氏が、教育困難校の実情について伺いました。

浜岡さん(仮名)は、偏差値40未満の教育困難校に勤務しています。それ以前にも別の教育困難校で勤務した経験がある浜岡さん。大学を卒業してから10年以内の若手教師は、2つの高校での指導を経験したことで、教育困難校にどのような印象を抱いたのでしょうか。教育困難校で働く教員の1事例を見ていきます。

教師を目指したきっかけ

浜岡さんは小学校の頃にいじめに遭い、不登校になった経験があります。高校生まで学校でのいい思い出はまったくなかったそうで、友達は1人もいませんでした。

「私は、高校まで、人とうまくコミュニケーションを取れませんでした。例えば、高校のときにクラスで隣の生徒に『おはよう!』と挨拶されても、それをうまく返せなかったんです。

今までいじめられてきたので、人に対する恐怖感があり、相手にどう返せばいいのかを変に考えてしまいフリーズしてしまっていました。そのような経験があったため、自分を周囲に受け入れてもらえないし、受け入れてもらえたこともない、という感覚で生きていました」

「集団の中で生きるのに、とても苦労してきた」と過去の自分を語る浜岡さん。彼が教員を志した理由は、自分自身の苦しい経験と、大学での仲間や指導教授との出会いからでした。