春にスタートを切る新駅としては、まさにぴったりの駅名だ。福岡県の大手私鉄、西日本鉄道(西鉄)天神大牟田線に3月16日開業の「桜並木駅」(福岡市博多区)。駅名は公募によって駅南側にある桜並木にちなんで命名され、駅施設のあちこちに桜の模様がちりばめられている。

西鉄で2010年以来、14年ぶりの新駅として期待を集める桜並木駅。ただ、この駅が設けられたのは、難読駅名として知られる雑餉隈(ざっしょのくま)駅からわずか500mの位置で、「天神大牟田線の駅間の距離では一番短い」(西鉄広報担当者)。両駅間は徒歩でも5分ほどだ。すぐ近くに駅があるにもかかわらず、新駅を造ったのはなぜか。

駅のあちこちに「桜」

桜並木駅は、福岡市中心部の繁華街、天神に位置するターミナルの西鉄福岡(天神)駅から8つ目。高架駅で、ホームは上下線にそれぞれ1本ずつの「相対式」だ。天神大牟田線の列車は最長で7両編成だが、ホームの長さは8両編成に対応している。

駅施設で目立つのは、駅名にちなんだ桜の模様の装飾だ。ホームの駅名標をはじめ、券売機上の運賃表や、改札階からホームへ通じるエスカレーターや階段脇の案内板、トイレの入り口などあらゆる部分に桜をあしらっている。広報担当者によると、駅名標に模様を入れたり色を変えたりするなど駅独自のデザインを採用した例は、西鉄では2010年開業の紫駅(筑紫野市)など一部という。

桜並木駅の西鉄電車 工事中の桜並木駅を通過する電車(記者撮影)