能登半島地震でも多く取り上げられた「災害時のトイレをどうするか」問題。

トイレ環境の大切さを広めるべく奔走する「日本トイレ研究所」の代表理事・加藤篤さんが、“トイレ”の視点から防災のノウハウをやさしく解説した『トイレからはじめる防災ハンドブック』より一部の内容を抜粋。忘れたころにやってくる災害への備え、そして起こった後の対応のポイントについて、3回にわたって掲載します。

第1回は、災害とトイレをめぐる基本的な知識をお伝えします。

自然災害の発生後にすべきこと

■発災3時間以内に約4割の人がトイレに行く

自然災害の発生後にすべきことは何でしょうか? 地震や豪雨などが起きたときに真っ先にすべきなのは、自分の命を守ること、そして安全な場所に避難することです。ここまでの行動は、全員一致するでしょう。

問題はこのあとです。避難所では避難者の誘導や場所の確保、水・食料の配給などに多くの人が奔走します。もちろんこれらは大切ですが、それと同じくらい重要なのに、忘れられがちなことがあります。それが「トイレ対応」です。

大きな災害が起きると水洗トイレは使えなくなります。しかし、私たちの排泄は待ってくれません。