近年メディアでもよく取り上げられ、関連書籍も多数出版されている「HSP」。認知度が高まる一方、さまざまな情報が付加されることで、問題も生じているようです。『発達性トラウマ 「生きづらさ」の正体』の著作がある、公認心理師のみきいちたろうさんが解説します。

近年、HSP(Highly Sensitive Person、感受性の高い人、繊細な人)が文字通り“ブーム”と言えるような状況になっています。

「繊細さん」というようなタイトルで書かれた本も書店などで目にします。テレビでも取り上げられ、芸能人が「自分もHSPだった!」と、SNSで発信するなど、すっかり市民権を得た趣があります。

実際に、私がカウンセラーとしてご相談を伺っていても、「自分はHSPかもしれません」「私は、HSS型HSPです」というようなことをおっしゃるご相談者が増えています。

“HSPブーム”と専門家からの警鐘

一方で、そんなブームに対して、専門家から警鐘が鳴らされるようにもなりました。発達心理学者の飯村周平氏などがその代表です(参考:『HSPブームの功罪を問う』岩波ブックレットなど)。

簡単に言えば、HSPが本来の意味を離れて、さまざまな情報が付加されることで、弊害も生じているということです。

もともと、HSPとは、1996年にアメリカの臨床心理学者のエレイン・アーロンが提唱したのが最初で、学術的には「感覚処理感受性」と呼ばれるものです。