1月24日、国立感染症研究所は「A群溶血性レンサ球菌による劇症型溶血性レンサ球菌感染症の50歳未満を中心とした報告数の増加について」というレポートを発表した。

このレポートで注目すべきは、重症度が増している可能性があることだ。50歳未満の致死率(報告数に占める届け出時の死亡数)の割合が、従来は9.1%〜19.7%だったものが、2023年以降は30.9%と上昇している。

国立感染症研究所は、病原性や伝播性が高いUK系統株が、国内に流入している影響があるのかもしれないと論じている。

溶連菌以外の感染症も増加

わが国で流行しているのは溶連菌だけではない。

現在、インフルエンザ、咽頭結膜熱(プール熱)が大流行しているし、昨年はこれら以外にヘルパンギーナ、流行性角結膜炎、RS(呼吸器合胞体)ウイルス、手足口病が大流行した。溶連菌、咽頭結膜熱、ヘルパンギーナの感染の規模は過去10年で最大だ。

感染症週報 感染症発生動向調査「感染症週報(第26巻 第9号 2024年3月15日発行)」(厚生労働省/国立感染症研究所)より

さまざまな感染症が流行するのは、日本に限った話ではない。

昨年11月、中国の北京市などで、インフルエンザ、マイコプラズマ、ライノウイルス、RSウイルスが大流行しているし、2022〜2023年の冬にかけて、アメリカではコロナウイルスに加え、RSウイルス、インフルエンザが同時流行し、「トリプルデミック」といわれた。

この3つのウイルス以外にもヒトメタニューモウイルスやアデノウイルスも大流行している。