買い物が大変だからとまとめ買いする必要もありません。ネットスーパーや生協で生鮮食品を、Amazonや楽天市場で日用品を注文すれば、買い物にいく手間さえなく、買った翌日には欲しいものが玄関まで届きます。

年齢を重ねるにつれて頭の中は昔の思い出が蓄積されていき、記憶力は落ちていきます。つまり、脳のキャパシティは常にぱんぱんです。台所用スポンジや白髪染めのストックがあるかないかなんて、いちいち覚えていられません。

自分の持ち物が把握できていないと「シャンプーの予備あったっけ? なかったような気がするからとりあえず買っておこう」と、勘で買い物をすることになり、どんどんモノが増えていきます。そうすると「ハサミがあったはずなのに、どこに置いたかわからないからハサミを買わなきゃ」ということになり、モノがモノを呼ぶ悪循環の沼が待ち受けているのです。

ストック 日用品のストックは右下の黄色い缶に収納。洗剤や入浴剤などポイポイ放り込んでいます(筆者撮影)

私は汚実家育ちで、子供時代は常に、ハサミ、耳かき、爪切りを探していましたし、3人家族なのになぜかそれらは4つ以上ありました。大人になってからもそれは変わらず、以前の帰省した際に、洗面所の収納の奥の方に何年も放置され続けているであろう大量の洗剤に交じって、表面にカビが生えたカビ取り剤を発見したことも付け加えておきます。

狭い家で必要最低限のモノと暮らすと、記憶力に頼ったり、勘で買い物しなくても、どこに何があるか自分が何を持っているのかを目視で把握できるため、ストック品のストック品を買うことがなくなり、ハサミがどこにあるか探し回ることもなくなります。

ただし、収納スペースを超えた量の荷物を持つと部屋がモノで埋もれ、日常生活を維持するのが困難になるため、収納に見合った所有量を維持することが最低条件にはなってしまうので、「捨てる勇気」が常に試されている状態にはなります。

狭い家なら収入に見合った暮らしができる

定年後は収入も減るため、潤沢な預貯金がない場合は、収入に見合った暮らしをする必要が出てきますが、狭い家なら購入費用も、家賃コスト(中古マンションの場合税金や修繕積立費など)も抑えられます。

SRC造マンションの1ルームなら機密性も高いので、冷暖房はエアコン1台で事足りるため、電気代も安上がりです。ガスファンヒーターや石油ストーブも買わなくていいので、購入費用も不要でガス代も石油代も不要です。

ペット ペットがいるため夏も冬もエアコンを24時間稼働しますが、ここ1年の電気代は高くても8000円台。狭ければ節電しなくても電気代は安い!(筆者撮影)

家が狭ければ掃除もあっという間です。掃除機だけなら5分もかかりません。階段を上り下りして、いくつもの部屋を掃除する手間と比べると雲泥の差です。年を重ねていくにつれ、動作がおっくうになることを考えれば、掃除するスペースはなるべく狭い方がいいですよね。

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「都会の恩恵を享受できる、狭い家での暮らしは若者の特権」「結婚して家庭を持ったら広い家で暮らすもの」そんなイメージを持っていましたが、「意外と大人こそ都会の狭い家が向いているのかもな」なんて思う今日この頃です。さすがに我が家の6畳1Kは極端すぎるとは、我ながら思いますが。

著者:大木奈 ハル子