突然ですが、あなたは今、疲れていませんか?

医学博士で日本リカバリー協会代表理事である片野秀樹氏によれば、疲労は熱や痛みと同じ、体からの警告です。

片野氏がこのほど上梓した『休養学:あなたを疲れから救う』では、軽視されがちな「疲労」と「休息」について科学的な解説を加え、「人はなぜ疲れるのか」「休まずにいると体はどうなってしまうのか」「どんな休み方が効果的か」といった疑問に答えていきます。

今回は「お風呂に入ると疲れがとれるのはなぜか」。本書から抜粋・編集してお届けします。

「適度な運動」は休養になる

「運動と休養は、正反対の話ではないか」と思われる方もいるかもしれませんが、休養学では運動を休養の一種とみなします。適度な運動をすることで、より疲労回復が進むからです。何もせずにじっとしているより、運動をしたほうが疲れがとれます。

運動すると血液の流れがよくなり、細胞の1つひとつにしっかりと酸素と栄養を運ぶことができます。それによって老廃物の除去が促進されたり、リンパの流れがよくなったりするので、疲労感の軽減につながります。「血のめぐり」をよくすることは健康の基本です。それには軽く体を動かすのがいちばんです。

休みの日は1日じゅう寝ている人もいると思いますが、ずっと寝ていることだけが休養ではありません。横になってじっとしているだけでは血液の流れが滞るからです。もちろんまったく流れないわけではありませんが、疲れをとるには軽微な運動が必須です。

昼間、適度な運動をすると体も疲れますので、夜になると副交感神経が高まって、深い睡眠がとれるといううれしい効果もあります。

具体的にはヨガ、ストレッチ、ウォーキングなどがいいでしょう。入浴も血液の流れを良くさせるという意味では、運動タイプに分類されます。

お風呂に入ると疲れがとれることは、多くの人が実感しているでしょう。でもなぜ、お風呂に入ると疲れがとれるのでしょう。