ここ数年大きくクローズアップされているBEV(EV:電気自動車)。その動向について調査結果で日米で似通う結果が出ています。

日米共に横ばいという調査結果に

 KPMGジャパン(東京都千代田区)は3月12日、「KPMGグローバル自動車業界調査2023」と「第3回日本における消費者調査」を比較分析したレポートを発表しBEV(バッテリーEV)の動向について解説しました。

 同調査は、KPMGジャパンが行った18歳から64歳までの自動車保有者6000人を対象にしたアンケート結果と、1041人の自動車産業に関わるグローバルエグゼクティブ(管理職)を対象に調査した結果をまとめ、比較したレポートとなっています。

「2030年までに、日本市場において、新車販売台数の何パーセントがBEVになると考えますか?」という質問の自動車業界エグゼクティブによる回答結果を平均すると、BEVが占める割合は32%になるそうです。一方、「EVを購入したい」と回答した一般消費者は、わずか13%にとどまりました。これは去年調査と変わらない数値となっています。

 購入希望者が横ばいになる現象はアメリカでも起きており、アメリカ自動車協会(AAA)が2023年11月に行った調査では、EVの購入希望率が2022年とほぼ同じ約25%となっていました。

 横ばいということは、まだEV市場は成長の余地がある……と報じられた一方で、バイデン政権が掲げている2030年までに年間新車販売台数の50%をEVにするという目標には遠く及ばないだろうとの予想も立てられています。

気になるのは…「値段と充電インフラだ」

 KPMGジャパンの調査で日本の消費者に「BEVを選択しない理由として当てはまるものは何ですか?(複数回答可)」と質問したところ、一番多かった回答は「充電インフラの問題」で53%だったそうです。次に価格の問題が50%と続きます。

 充電インフラへの懸念に関してもアメリカで同じような結果が出ており、AAAの調査では「充電ステーションの不足が」購入を控える理由の56%となっていました。ただこれは最多の回答ではなく、アメリカでは価格の問題が59%で一番となっています。

 さらに、アメリカでは、冬場の寒波によるバッテリーの性能低下なども問題となっており、EVが立ち往生する様子や急速充電機に列を作る様子なども報じられています。

 KPMGコンサルティングパートナーの奥村 優氏は今回の報告書で、「BEV購入後に消費者が直面する技術的な問題(冬季のバッテリー性能低下、一部車種と急速充電器の組合せにより発生する不具合、バッテリー性能の経年劣化など)や不便な運用(急速充電器使用の30分制限など)も改善が必要です」との見解を述べています。